LOOP THE LOOP: The Mansion of Gluttony ~ The Grave of Daydreams (Free Suspense Horror Novel) - Introduction and Review

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sweet ampoule」様によるビジュアルノベルシリーズ「LOOP THE LOOP」のエピソードが10本、丸ごとセットで入ったパッケージ作品です。
ある環境下で起きる、不思議な空間での事件を描いたサスペンスホラー・ビジュアルノベルです。

10本分のクリア時間は、約30時間でした。
各エピソードのクリア時間内訳については後述しています。

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Game Overview

「LOOP THE LOOP 飽食の館~白昼夢の墓」は、「LTLシリーズ」と呼ばれている長編ビジュアルノベルのエピソードが、10編詰め合わせとなっているパッケージです。
2009年に公開された「飽食の館」から、2024年に公開された最新作「白昼夢の墓」までが遊べるようになっています。

ノベルゲーム制作サークル「sweet ampoule」様が、約15年に渡って製作されてきた作品の集大成となっており、全て無料で遊ぶことが出来ます。
月刊アクションで漫画版が連載されていたり、小説版も販売されている人気のシリーズとのことです。
ピッコマであれば、序盤だけ無料で読めたりします

本作で遊べるエピソードは以下の通りです。

初代シリーズ5作

・第一幕『飽食の館』 クリア時間:約4時間弱
・『飽食の館』episode0 クリア時間:約1時間
・第二幕『錯綜の渦』 クリア時間:約4時間
・『錯綜の渦』episode0 クリア時間:約1時間
・第三幕『藝術家の庭』 クリア時間:約4時間

合計14時間
ROSシリーズ5作

・第一幕『泡影の匣』 クリア時間:約3時間弱
・第二幕『石牢の姫』 クリア時間:約4時間
・第三幕『幽明の宴』 クリア時間:約3時間
・第四幕『歯車の島』 クリア時間:約4時間弱
・第五幕『白昼夢の墓』 クリア時間:約2時間

合計16時間

2025年2月時点で、11作目の新シリーズを製作予定ということが分かっています。
今後も続いていくシリーズだと思いますので、本作をプレイして興味を持った方は、新たな楽しみが増えるのではないでしょうか。

 

第一幕「飽食の館」の主人公は、荒川零弥(アラカワ レミ)という男子高校生です。
(『初代シリーズ』は全て彼が主人公です)
代り映えしない日常に退屈していたレミは、ある日謎の空間に移動してしまいます。

 

移動した先は謎の洋館であり、そこには自分以外に11人もの人間が同じように迷い込んでいました。
彼らによるとこの館では、自分の部屋は思い通りの内装になり、食べ物は何でも好きなものが出現するなど、魔法めいたことが可能なのだと言います。
半信半疑のレミでしたが、その通りの現象を目の当たりにして、信じざるを得ませんでした。

不思議ではありますが、それを事実だと受け入れてしまえば、それなりに楽しい生活がここにはありました。
そして館での生活に慣れ始めたころ、仲間の一人が殺されたことから物語が急転していきます。

誰が犯人なのか、目的は何なのか、そしてこの空間はいったい何なのか、残った人物は疑心暗鬼の中で話が進んでいきます。

 

Review (no spoilers)

本作は、選択肢が存在しない一本道のビジュアルノベルです。
オリジナルの立ち絵、一枚絵、BGM、主題歌付きのオープニングムービーなど、かなり豪華な作りです。
基本的にすべてが無料でプレイできるため、フリーゲームとしては破格の内容だと感じます。

 


この辺りの資料も凝っていて、良く作り込まれています

1作ごとの作品のクリア時間は、約3~4時間にまとめられており、小説1冊分くらいのボリュームです。
特殊な状況のクローズドサークルものであり、ミステリーやサスペンス要素が好きなプレイヤーに広くお勧めできる内容だと感じます。

エピソードの前半は、丁寧に日常シーンが描かれており、ややゆっくりめの展開だと思います。
しかし、事件が起きてからは非常にスピーディーな展開で物語が進み、読み進める手が止められなくなると思います。
誤解を恐れずに例えるなら、『ひぐらしのなく頃に』のようなイメージでしょうか。
前半の日常パートがじっくり描かれており、事件以降は手に汗握るサスペンスという感じなので、プレイしたことがある人はイメージしやすいかもしれません。
第2作目以降は、第1作の展開をなぞるわけではなく、新たなシチュエーション・展開が練られているため、飽きることなく楽しめるのではないでしょうか。

推理サスペンス要素の他の特徴としては、登場人物の内面を掘り下げることに描写を費やしています。
一見、よく見かける記号的なキャラクターに見えても、実はそうではなく、しっかり一人の人間として描いていると感じました。
第1作が楽しめたのであれば、それ以降も同様に楽しめるのではないかと思います。

かなり昔から続いているシリーズのようですが、メインはスマホ用アプリとしてリリースされているようでしたので、今まで僕は知りませんでした。
とても楽しくプレイできたので、今後も追っていきたいと思っています。

感想・スクショを添えて(ネタバレ注意)

ここから先は、ネタバレ有りの断片的な感想コーナーです。
10作目をクリア後に記事を書いているため、最初の方は少し忘れている部分もあるかと思います。
思い出しながら、各作品の感想を書いていきます。
感想の1割も書き出せていないと思いますが、ご容赦ください。

 

初代シリーズ

第一幕『飽食の館』

シリーズ最初の作品です。
事件が起きるまで一番長かったのではないかと思います。
日常パートでちょくちょく不穏な情報が出されていきますが、そのタイミングが絶妙でした。
ただ、一度事件が起きてからは怒涛の展開で、ミステリーというよりホラーに近い展開です。
『うみねこのなく頃に』のように、通常考えられないような状況でガンガン人が死んでいくので、本当に推理が可能なのかどうか疑わしい状態で読み進めていました。

 

超常的な空間ではありますが、何でもありというわけではなく、ルールは存在しています。
ミステリーとホラーの中間、後半はサバイバルのような緊張感がありました。
この1作目を面白く感じたからこそ、他の作品も面白いはずだと信じることができ、最後まで読み進めていけました。

 

『飽食の館』episode0

1作目の過去の事件を描いたエピソードでした。
冴木を掘り下げる内容で、とても興味深かったです。
1作目に繋がる内容なので、結末が分かっているからこそ、どのように繋がっていくのかワクワクしました。
冴木が色々なルールを作った理由は、過去にこういうことがあったからなのだと納得しました。

 

第二幕『錯綜の渦』

IDEA社の面々など新たなキャラが多数登場し、舞台も変わってかなりワクワクしました。
LTLのルールを活かした様々なトリックや、複数の思惑が絡む内容となっていて面白かったです。
単に遺恨を晴らす謎解きゲームだけにならず、事件が絡みやすい構造になっており、LTLという舞台装置が上手く機能していると感心しました。

クリアすれば死んでも生き返るLTLですが、ロストの概念が明確になったことで緊張感は保たれていたと思います。
個人的には、フーダニットとの面白さは1作目よりも少なめで、本作はアクション映画のようでドラマチックな味わいがありました。

 


めっちゃ早口で言ってそう

 


マウンテン・ティムかな
 

海原先生のような出で立ちですが、意外と漢気があって好きです。
スカッとするシーンのひとつ。

 

『錯綜の渦』episode0

冴木を中心に掘り下げる内容で、より愛着が湧きました。
2作目と同じで、新たな事件が起きるわけではなく、過去の掘り下げが中心です。
嫌な奴だと思っていたサキトにもいろいろ事情があったんだなと、少し理解が進みました。

 

第三幕『藝術家の庭』

これまでの館や船とは異なり、犯人が判っている異色の作品です。
特殊なルール下で、主人公側が殺人事件の出題側に回る捻った展開になっていくのが面白く感じました。
レミ自身が具体的なトリックや犯人を教えられているわけではないので、事件の詳細はわからないという点は通常のミステリと同様です。
アキの最期はやや予定調和的な結末ではありましたが、途中の展開がとても面白かったです。
初代シリーズのラストを飾るのにふさわしいエピソードだったと思います。

 


第1作のカリンのメモと同じ『死刑☆』で合わせている辺り、芸が細かいです。

 


急に般若心境を歌い出してハイになっているのが不気味でした。

 

ROSシリーズ

第一幕『泡影の匣』

主人公がレミからコタローへと変わり、作品の雰囲気がかなり変わるエピソードです。
また、文体が1人称から3人称に変わっており、少し小説的な描き方になっています。
1人称視点だと主人公が知らない内容は書かれませんが、3人称視点だと地の文で色々と説明が可能であり、個人的にはこちらの方式の方が好きです。

コタローは、他のノベル作品ではあまり見かけないタイプの人物なので、新鮮な味わいでした。
成績は悪いかもしれませんが、頭が悪いわけではないタイプで、ヘアピンがキュートです。

LTLの謎解きについては、タクトに解けなくても、コタロー達には解けるという見せ方が良かったです。

 


教育実習でいきなり無遠慮な質問攻めにあってかわいそう。

 


出来ない側の気持ちを吐露するコタロー。
お互いの気持ちが分からないからこそ、相互理解のための対話が必要なのだと思います。

 


何を言っても聞く耳を持ってくれなかった敵役が、こちらの話を聞く姿勢を見せてくれる展開は好きです。

 

第二幕『石牢の姫』

シリーズの中ではかなり好きな作品です。
各キャラに見せ場があり、シナリオ的にも大きな展開があるので、色々なジャンルの美味しい所取りのようなイメージです。

孤立している同級生を助けるという王道の展開、閉鎖空間でのミステリー&サスペンス&ホラー、アクション映画のような極限の戦いなど、色々な面白さが詰まっていると思います。

 


この時は、特別仲が良いわけではないコタローやシュンたちですが、LTLについてはみんな揃って同じ意見という、奇妙な連帯が面白いです。

 


なんだかモリヤが可愛く見えてきました。

 


どちらかと言えば臆病な人物であるシュンが、自分の命を餌にして油断させ、捨て身で食い止めるシーンは熱かったです。

 


コタローなりに、思ったことを頑張って伝えようとしているシーン。
海野さんとコタローがやり取りするシーンは、どちらも相手に誠意を持って伝えようとしているのが感じられて好きです。
 
第三幕『幽明の宴』

最強の戦力としてLTL内に入ってきた水晶が、いきなり何者かに殺されるというかなり衝撃的な導入で、最後まで引っ張られてプレイを進めてしまいました。
何となくシリーズ1作目の「飽食の館」を彷彿とさせる舞台と犯人でした。

LTLの媒介となった人物は現実に戻りたくないので、脱出を妨害する犯人となりやすいのは基本路線ですが、複数人による自動車事故で、犯人が絞り切れないというのは良く出来ていると感じました。
すごろくゲームのプレイヤーセレクトで、誰が死んだか確認できるギミックは、シンプルながら怖かったです。

 


洋服を着ると、実はかなりイケメンに見えるモリヤ。
慣れない敬語で勤労する姿がかわいいです。

 

 


カヤ様は、外見が若く見られる設定なのかどうかはわかりませんが、三十路近い女性がこの服を着るのは、既に厳しい気がががが

 


本エピソードで一番好きなシーンです。

 

第四幕『歯車の島』

ROSシリーズのコタローと、初代シリーズのレミが共演する豪華なエピソードです。
二人の姿が、まるで『ガンダムSEED DESTINY』のシンとキラ(アスラン?)のように見えました。

『藝術家の庭』のように、LTL自体に死のトラップがあり、緊張感がありました。
犠牲者を抑えなければいけない状況下で、予想外に死者が出てしまう展開は絶望感が大きかったです。
LTLの特性を十分に利用したトリックによる、犯人サイドとの攻防がとても面白かったです。

 


この辺りのことをちゃんとと認識できている辺り、コタローは本質が見えていると感じます。

 


水晶はふざけているような言い方をしてはいますが、実際のところは本音なのではと感じます。

 


初代シリーズではレミ視点だったので、なぜレミが冴木やタクトから一目置かれるのが明確ではありませんでした。
しかしコタローから見ると、こういった部分にレミの特異性があるのかもしれません。

 


LTLシリーズには色々な怖い人が登場しますが、一番怖いのは実はリンカなのではと思います。
もちろんただ怖いのではなく、優等生的な面もあり、可愛らしいところもあり、嫌な部分や怖い部分もあり、一番、人間味があって等身大に描かれていると感じます。
ミニーマウスのような可愛らしいリボンをしていますが、可愛さはすべてそこに託したかのようなキャラクター造形が好きです。

 


この年でこの結論に達するのは凄い事なのでは。
慧眼だと思います。

 

第五幕『白昼夢の墓』

ROSシリーズの完結編ということで、開始から大きく物語が動きます。
ジュリや水晶があっさり殺されてしまうのは悲しかったですが、両者ともこれまで非道なことをしてきていると思いますし、その報いを受けたと言えるのかもしれません。
二人とも、かなり味方寄りのポジションになってきてくれて感情移入していただけに、悲しかったです。

軍隊のような武装集団が登場してきてどうなることかと思いましたが、意外にもピーターがあっさりLTL内で死亡したのでほっとしました。
LTL内で即死ギミックがあるのは歯車の島・藝術家の庭と同様で、緊張感がありました。
今回はLTLの外側の出来事の方がかなり激しかったので、内側はやや穏やかだったように感じました。
とはいえ、いつも通り殺人事件は起きるので一筋縄ではいきません。

コタローが決死の覚悟でタクトを復活させたのは熱いシーンでした。
コタローがブチ切れモードになると、何をするか分からない凄みを感じます。

真壁はこれまで結構切れ者っぽい雰囲気を醸し出していたのですが、一気にメッキが剥がれて笑ってしまいました。
大勢登場人物が死につつも、前向きな希望を感じさせるものがある、そういう終わり方だったと思います。

 


この一言のためだけに用意されたであろう表情差分が愛おしいです。

 


浮世離れしていても、世話になった店長(一般人)にちゃんとお礼を言っているのがえらい。

 


式鬼の中でも、かなりバランスが取れてまともそうなバサラが、珍しく冗談っぽいセリフを発した貴重なシーンです。

 

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