SRPG Studio製のインディー作品『STRANGER SAGA -流れ者バッチとイスキエルドの野望-』の紹介・感想記事です。
SRPG要素の中でも、特にユニットの育成と戦術マップの戦闘に焦点を当てて作られた作品です。
その他の部分は可能な限り削ぎ落した潔い作りが特徴的です。
クリア時間は約10時間でした。
(ステージ数47、難易度ノーマル)
ゲーム概要

流れ者であるバッチを中心に、王国に対して反乱を起こしたイスキエルドに立ち向かっていくストーリーが描かれます。
基本的なストーリーはシンプルで王道的であり、どのステージもオープニングイベントは簡素にまとめられています。
ステージ中は、訪問できる村や敵増援は一切ありません。
開始時に見えている敵が全てなので、純粋に敵を殲滅することに集中できると思います。
1つ1つのステージはテンポ良く進んでいきます。
キャラロストは無く、仮に全滅してもお金と経験値を引き継いで同じステージをやり直せるスパロボ方式なので、事実上詰むことはありません。
目の前の敵を倒し、ステージをクリアするということだけに没頭できます。

ゲームとして特徴的な点は、ユニット育成の自由度の高さです。
初期クラスがシビリアンのユニットは、レベルが5になると様々な職業にクラスチェンジできます。
ユニットには固有の成長率があるため、大まかにはそれぞれの適性クラスが存在します。
しかし、長所を伸ばすのか短所を補うのかの方針は、プレイヤーの判断に委ねられています。
自軍全体の編成を考慮しつつ、個々の役割を意識して育成していく必要があります。

シビリアンから選択できるクラスは6種存在します。
それぞれの特徴を解説すると、以下のようになります。
力が高いユニットをソルジャーやバーバリアンにするのも良いですし、力が高いスカウトにするというのも面白い選択です。
また、守備力が高いユニットを物理職ではなくマージにして、前線で敵のアーマーを魔法攻撃で排除していくユニットということも可能です。
ユニット固有の成長率とクラスの組み合わせにより、様々なタイプのユニットを作り上げていくのは本作の醍醐味のひとつでしょう。
ちなみにクラスチェンジするとレベルは1に戻ります。
各クラスには1~3個の上級職が存在し、レベル15になるとクラスチェンジできます。
(※例外あり)

ユニットの武器はクラスに依存しており、CCすると自動的に支給されます。
武器は壊れることはありませんし、変更することもできません。
ただしステータスを上げるアクセサリ・武器は存在しており、それぞれ1種類は所持させて強化が可能です。

強化するためのアクセサリや武器は、ステージ間のショップで購入できます。
敵を1体倒すごとに少額のお金が入手できるので、それを貯めて買いましょう。
ゲームの進行によって、自軍メンバーは大きく入れ替わることがあります。
その場合、全ての持ち物はいったんストックに送られるので、再度振り分けるようにしましょう。
感想(ネタバレ無し)

気付けば、いつの間にかクリアしていたというのが最初の感想です。
クリア時間は10時間ほどですが、そのほとんどが「集中して遊んでいた時間」でした。
本作はシナリオパートは必要最低限にまとめられているため、通常の作品より濃密な10時間だったと感じています。
難易度のノーマルの感想としては、やや簡単~普通といった印象でした。
これはユニット育成がある程度順調に行ったということが大きいかもしれません。
ゲームオーバーになってもお金と経験値がそのままでステージ攻略をやり直せるため、失敗を怖がらず大胆なクラスチェンジが出来たということもあるでしょう。
本作で楽しかったのは、育てたユニットで敵を殲滅していくという、SRPGの根源的な面白さです。
ストレスになり得る要素は徹底して排除されており、攻略が淡白になるかどうかの絶妙なラインだったのではと感じます。
敵の増援については基本的に無く、開始時から状況が変化することはほぼありません。
(倒した敵が復活するというパターンは一応あります)
村を訪問するとか敵を説得するというイベントもなく、ただ戦闘のみに集中できます。
マップのサイズや敵の配置も練られており、進軍するために長距離を行軍させられるということもありません。
テンポよく敵を次から次へと殲滅させ次のステージへ移行する、というサイクルが非常に早く回転しています。
こうして考えると、本作はSRPGの面白さの核であるユニット育成と戦闘に特化させた作品だと思います。
SRPGの面白さとして、ストーリー性やキャラクター性といったものを求めている人にとっては、物足りなく感じるかもしれません。
そういった自覚がある人は向かないかもしれません。
反対に、敵を効率よく殲滅することに快感を覚えるプレイヤーは、かなりマッチする可能性があります。
自由に育成できるシビリアンたちを全員アーマーナイトにしたり、長距離攻撃できるシューターにしたりできます。
他作品ではなかなか試せない偏った編成を楽しみたい人は、本作に向いているのではないかと思います。
クリア後感想・その他所感
クリア後の振り返り

クリアターンランクはSSSという評価でしたが、SNS上では300ターンを切るプレイヤーも散見されます。(ランクは『EX∞』と表示されていました)
持久戦のような戦法を選択すれば、ターンはそれなりにかかるため、やり込み要素の一つとしてとらえておくと良いでしょう。

わが軍のMVPは、最初期から支えてくれたハイノ君です。
ナイト→パラディンとクラスチェンジし、高い攻撃力で切り込んでいく頼もしいアタッカーとなりました。
上級クラスにクラスチェンジできなかったのは、アナスティアとリディアの二人だけでした。

ノーマルをクリアすると、さらに2つの難易度が解放されます。
一人でも倒されるとゲームオーバーになるエキスパートモードと、敵が一回り強くなるハードコアモードです。
ノーマルのプレイ感のまま難易度を上げたい場合はハードコアモードをプレイすればよいかと思います。
敵兵種ごとの受け方(攻略メモ)
色々な攻略がある本作ですが、ポイントとなるのは敵の兵種に応じた受け方だと思います。
何となくですが、僕が攻略時に意識した基本的な対処について書き記していきます。
こうしてまとめてみると、自軍におけるアーマーナイトの重要性が良くわかると思います。
アーマーナイトだけレベル7で早期クラスチェンジできるのは、戦術上どうしても壁役が要求される局面が多いからではないかと推測します。
アーマーナイトを一切使わずにクリアするというだけでも立派な縛りプレイになるのではと思います。
上記のような対応が一般的だと思いますが、突出した戦闘力を持ったエースがいれば単騎でゴリ押しできます。
また、他とは違う変則的なユニット(たとえば魔防の高いアーマーや守備力の高いマージ)を育成して、対応力を上げるのも面白いと思います。
ユニット使用感
本作は成長の仕方やプレイヤーによって、ユニット運用の仕方が大きく変わると思います。
いちプレイヤーの記録として参考になればと思います。
・バッチ

彼については、誰もが主力として頼りにしたのではないでしょうか。
高い攻撃力や、そこそこの防御・及第点の魔防を備えて、どんな相手も互角以上に戦えました。
後半になるとさすがに、速さで劣るアサシンの集団と交戦すると危険ですが、HPの高さも相まって安定感がありました。
物理攻撃がメインの相手であれば、敵部隊をまとめて一人で引き受けられるため、ヒールリングの相性がもっともよかったと思います。
・ハイノ

ナイト系に育てました。
機動力のあるアタッカーとして、長きにわたって活躍しました。
最終的にはバッチを超える攻撃力に育ち、ここぞで頼れる存在になりました。
ただし魔防はバッチほど高くないため、マージ系との戦闘には注意が必要でした。
防御力の高い敵アーマーであっても、そこそこのダメージを与えられるのは便利でした。
・イーナ

スカウト系にCC。
技と速さは高いものの、攻撃力が今一つのため、マージやアーチャー、同じスカウト系とマッチアップさせることが多かったです。
パワーリングを持たせることにより、アーマー系以外であれば大体対応できるようになりましたが、守備力の低さもあって最前線から一歩引いたところが定位置でした。
役に立ったかと言われると、空気だったステージが多かった気がします。
最終マップ直前で死亡フラグのような発言があったのでヒヤヒヤしたのですが、バッチとお幸せに。
・セリア

マージ系にCCさせました。
か弱い見た目に反して、カッチカチの守備力を筆頭に、攻撃以外はどれも高水準のモンスターユニットになりました。
僕は最前線で活躍させるため、射程1を攻撃できるルーンランサーにしましたが、どれでも活躍できると思います。
敵アーマーを豆腐のように串刺しにしていく一騎当千のスーパーユニットでした。
・アリベル

貴重な回復役として必須の重要ユニットでした。
本作のヒーラーは回復射程が3で、回復後行動できるというのが地味にうれしいポイントでした。
クラスチェンジ後は高い魔力を活かして魔法攻撃ができるので、同一ターンに味方の回復と敵への魔法攻撃が行えるという、有能なユニットでした。
・フェリクス

攻撃力の高いアーチャーとして、最初から最後まで活躍しました。
守備も高いため、アーチャー同士の戦闘でも打ち負けることはなく、マージ系を含めたほとんどの敵を相手にできる、苦手兵種の少ないユニットでした。
唯一魔防は低いですが、そもそも敵マージの射程外から攻撃できるので問題はありません。
・レジェス

シナリオ的にも育っていないと苦労するアーマー枠。
敵アーマー以上の水準の速さを保っているので、こちらから追撃できることもしばしばあり、頼れる壁役でした。
ありがたいことに魔防もぼちぼちあるので、敵マージが混じっていても耐えられるのはありがたかったです。
・アナスティア

永遠に味方を再行動させ続けるユニットでした。
そしてそれで何も問題はないため、頑張って育ててCCさせるということは特にしませんでした。
CCすると劇的に使用感が変わったりするのでしょうか。
・ロベルト

パラディンにしてみたものの、ハイノと比較すると見劣りする成長となったため、終盤では控え役に回りました。
であれば、ボウナイトにした方が生きる道はあったかもしれませんが、結局出撃枠を獲得するまでには至らなかったと思います。
・エリッサ

敵マージを絶対殺すウーマンとなっているパラメータの飛兵です。
終盤になると、マージだけで固まっている敵部隊が少なくなり、出撃させることが少なくなっていきました。
防御力が低いので、物理系相手だと大けがをすることが多く、戦闘させづらい印象でした。
・シェリル

ボウシューターにCCさせました。
攻撃力が高くHPが低いため、攻撃を受けることがないクラスがハマり役だったと感じています。
速さも一定以上確保できているため、多くの敵に追撃できるのは非常に強力でした。
リディアで応援すれば、ほぼすべての敵に追撃できるのも魅力です。
自軍最大火力を持つハイノと同等の攻撃力を持つため、終盤アナスティアはシェリルをひたすら応援する付き人となっていました。
・シルヴィ

貴重な回復枠その2です。
アリベルほど回復力は高くない分、移動力と射程があるのがやや魅力でしょうか。
とはいえ、仕留めそこなった敵のとどめを刺す程度の火力なので、劇的に戦力となるわけではありません。
が、いれば役立つシーンはそこそこある印象です。
カタコトエルフカワイイネ。
・グレム

わが軍のアーマー枠その2です。
レジェスより見劣りするパラメータではありますが、壁役としての役割は十分こなすことができました。
魔防も少しはあるため、多くのシーンで頼れる存在でした。
・マルチェラ

パラメータが中途半端なので、思い切ってボウシューターにしました。
消去法的な選択ではありますが、ハマリ役だったのではと思っています。
シェリルに比べて火力も速さも物足りませんが、長い射程そのものが強力なので、かなり活躍しました。
リディアで応援して速さを上げれば多くの敵に追撃できるため、敵マージやアーチャー排除に便利です。
・セシル

最初は育てるのが非常に苦労しましたが、最終的には攻撃力と魔防が高いマージキラーへと成長しました。
魔防の高いパラディンという選択もあったと思いますが、防御力に不安があるため射程が長いボウナイトにしました。
機動力のある堅実な弓兵として活躍しました。
・ルゲンツ

攻撃力の高いフェリクスや機動力のあるセシルがいるので、彼もまたマルチェラと同じようにボウシューターにCCさせました。
射程の長さは正義だということを強く実感する活躍をしました。
・レティシャ

スナイパーにCCさせましたが、ボウシューターで良かったかなと思っています。
速さが高く、単独で追撃がほぼ保証されているボウシューターになれたという後悔が残っています。
終盤では出撃させることは少なくなっていきましたが、ボウシューターであれば出撃させたでしょう。
・デヴィッド

他にマージナイトにクラスチェンジさせたユニットがいなかったため、試しにマージナイトにしてみました。
魔法攻撃でほぼほぼ追撃できるのは良いのですが、いかんせん魔力がそこまで高くなく火力不足でした。
後半はマジックリングをアリベルに奪い取られて2軍落ちになりました。
・クラウディオ

イーナをアサシンにしたので、こちらはフェンサーにといった程度の気持ちでCCさせました。
悪くないパラメーターだとは思うのですが、本作はスカウト系が若干不遇のような気がしています。
アクセサリや武器で強化すればそれなりに強くなるのでしょう。
・テイラー

性格的にバーバリアンかな…と思いCCさせました。
序盤~中盤は結構強かったのですが、射程1~2という強みを生かせる機会が思ったほどはありませんでした。
射程外から攻撃するのならアーチャーやマージでいいじゃんとなりますし、反撃できる壁役にと思ってもタフさがやや物足りなかったかなと思います。
・ヴェーラ

貧弱さはシェリルとトップを争う水準ですが、魔力の高さはピカイチで、強敵キラーとして活躍しました。
しかしちょっとした油断から、敵アーチャーに仕留められてしまうこともあり、結構倒されてしまった印象があります。
速さがもう少しあれば、さらに強力な魔法アタッカーになれたかなと思います。
・ロザンナ

前線で十分戦闘できるアタッカーという印象です。
序盤は壁を越えて、奥の敵を先に撃破するという仕事を任していました。
しかし後半ボウシューターがわが軍で台頭し始めてから、わざわざ敵の奥深くに入り込んでいくメリットが少なくなり、終盤は飛兵の一軍は居なくなりました。
最終マップでは、両サイドの敵魔女を排除するために飛兵が欲しかったなぁと後悔しました。
・リディア

戦力としてはほとんど期待できませんが、応援することによって四方のユニットの速さを上げられるのが便利でした。
ボウシューターの中心で応援し続け、追撃可能にするシナジーが大きかったです。
ちなみに剣士系キャラが装備できると思ってシルバーカトラスを買ってしまったのは失敗です。
・ブラッド

テイラー同様、特に活躍できるシーンはなかったため、ほとんど出撃させることはありませんでした。
技が低いのは本作では結構なデメリットかもしれません。
タクティクスオウガのザパン的な感じで、キャラ的には好きです。
本ブログで紹介しているゲーム系の記事まとめ
コメント