四人の王国(フリー・RPGノベルADV)紹介・感想

ゲーム
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今回紹介するのは、WOLF RPGエディター製のゲーム「四人の王国」です。
ジャンルとしては「中編ロールプレイングノベル」と銘打たれています。
基本的にはアドベンチャーゲームですが、RPG的な味付けがされているノベルゲームとも言えます。

製作ツールを上手く活用して、ノベルをゲーム風に仕立て、プレイヤーを飽きさせないようにしていると感じる作品です。
クリア時間は、最後のセーブポイントまでで7時間でした。
エンディング回収などを含めると、合計8時間だったと思います。

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ふりーむ!

フリーゲーム夢現

ゲーム概要


本作は、RPG風のアドベンチャーゲームです。
演出・パズル的要素としての戦闘はありますが、それがメインという訳ではありません。
基本的には終盤までほぼ一本道のゲームです。

本作のあらすじは、以下のような内容です。

主人公の「あなた」は、生まれつき声が出せない、王子候補でした。
ある日、王子になる試練のため、3人の側近と共に、各地に隠された「紋章」を集める旅に出ることになります。
側近の3人は、それぞれ訳アリで癖のあるメンバーです。
他の王子候補との競争に勝って紋章を集め、「あなた」は王子になることができるのでしょうか。

このような導入で、物語は始まっていきます。


本作の特徴の一つとしては、主人公の返答である選択肢が、非常に多いという点です。
主人公は声が出せないので、どの選択肢を選んでも、反応が変わらないシーンはあります。
しかし、行動やジェスチャーが伴う選択や、紙に書いて返答するシーンなどは、その選択が反映されます。
この選択の蓄積によって、最初は無色透明だった主人公が、段々とプレイヤー自身であるかのように感じられていきます。


メニュー画面では、RPGのようなパラメータが見られるわけではなく、出会った人物の情報メモなどが確認できます。
変な選択肢ばかり選んでいると、主人公のメモにとんでもない文言ばかりが並ぶことになりますが、それもまた一興です。


通常のエンカウントによる戦闘は存在しませんが、イベントの一環として戦闘はあります。
全滅してもゲームオーバーになることは無く、即座にリトライになります。
ちょっとした工夫が必要な戦闘もありますが、それほどパターンは多くないので、詰まることはあまり無いかと思われます。


フィールド移動中に、パーティメンバーに吹き出しが出現することがあります。
この際、Shiftキーを押すことで、会話を始めることができます。
吹き出しが出たら、積極的に会話していきましょう。


選択肢が多いだけでなく、かなり攻めた内容のものがあるので、色々試したくなる衝動に駆られます。
取り返しのつかない選択肢は、終盤になるまでないため、プレイヤーが好きなように選んで進めていくのが醍醐味と言えます。

感想(ネタバレ無し)

9種類すべてのエンディングを見て、楽しませていただきました。
エンディングの分岐はすべて終盤に集中しているため、エンディング回収のために最初からやり直す必要はありません。
ただし、リカに対しての好感度が低すぎると、終盤の選択肢が限られる場合もあるようなので、ご注意ください。

まずは物語についての感想です。
本作は、物語が後半になると、グッと雰囲気が変わります。
もともと最初から、明るく楽しい雰囲気ではなく、そこはかとなく不穏さが漂っています。
ライバルである王子候補たちも癖がありますし、主人公と同行する3人も、色々と抱えている事情があります。
冒険を通して、なんやかんやで打ち解けていくのは、割とオーソドックスな展開で楽しいです。

しかし、思い通りに行かない展開も多く、ストレスは溜まるかもしれません。
声を出せない主人公だからこそ、もどかしい場面も多いでしょう。
だからこそ、いつの間にか主人公に感情移入して、物語に没頭してしまうことが多いと感じました。

次はキャラクターについてです。
登場人物は多い本作ですが、ひとりひとりに背景や考え方があり、単純に善人・悪人で分けることはできません。
そういった点では、色々と考えさせられることが多く、大人向けの物語だと思います。
あまり詳しく語るとネタバレにも繋がるので、詳しい感想は、ネタバレ有り感想に譲ろうと思います。

戦闘は、適度な難易度で面白かったです。
途中で、主人公が大振りを覚えてからは、戦闘で役に立てる存在になったことで、自分のことのように嬉しく感じました。
ピンチにならないと仲間が護衛してくれないので、最初は防御で耐えたり、攻撃に参加したりすることも大事でした。
レベル上げが存在しないゲームなので、全滅してリトライになっても、必ずクリアできる確信が持てるので燃えました。
とはいえ、そこまで難しい戦闘は無いので、ストーリーを盛り上げる演出としては素晴らしかったと思います。

後半の郵便局での5桁の謎解きは、少し難しい点もありました。
しかし、関係があるメッセージを色付きで表示してくれたり、ヒントも多いので、問題なく解くことができました。
難しく感じる人は、公式ホームページに解答があるので、調べてみると良いと思います。

感想(ネタバレ有り)

王道なストーリーと思いきや、後半の展開はなかなか予想できず、とても心に残りました。
楽しい娯楽作品というよりは、人生に対しての強いメッセージを感じた作品です。


本作は、まさに人生を模擬体験するゲームであるとさえ感じました。
前半の紋章集めは、人生の前半を表していると思います。
すなわち、夢や理想に向けて前向きに(ある意味では盲目的に)生きている、学生時代のような時期です。
大きな挫折は無いものの、仲間たちと力を合わせて、目的を少しずつ果たしていきます。
時には頑張ったつもりでも、結果が伴わず、落ち込んだりすることもあります。

そのようなときには、確かに、卑怯な手段を使うライツが小憎らしく感じたりもします。
しかしライツ側に立ってみれば、王の試練で勝利を勝ち取るために、誰よりも努力し、あらゆる手段を使ったに過ぎません。
ライツのすべてを擁護するわけではありませんが、王子の座を得るために、陰で本気で頑張ってきたのは凄いことだと思います。

その結果、王の試練ではライツが勝つことになります。
王の試練の終わりと共に、夢破れた主人公は、ライツに職をあてがわれることになります。
僕の場合、これはまさに現実のように、夢を諦めて現実的な職業に就くことと重ねて見てしまいました。


この辺りの、就職して職場で働く主人公の描写は、プレイしていて辛いものがありました。
何故なら、就職したばかりの頃の自分のように思えてしまったからです。

ゲームではこの後、様々な選択肢によって、物語の結末は分岐していきます。
今の生活を投げ出し、理想や夢を再度追っていくルート。
今の生活を続け、平凡なりに新たな生きがいを見つけていくルート。
その二つの中間くらいに位置する、転職して新たな職場を見つけるというルート。
そして、それらの選択とは全く異なる、一人旅に出るルートなどです。

本作では、どの道が正しいか、どの道が間違っているのかを語っているわけではありません。
ただ、「一番大事なことは何か?」という回答については、繰り返し、色々な人物が話しています。

クーフィアは『自分の中の、ゆずれないものだけは一生かけても、守り抜きたい。』と語っています。
このシーンでは、クーフィアの「ゆずれないもの」は、カシューやジャンの希望とは対立するものでした。
しかし、結局はクーフィアの信念が二人の心を動かすことになり、四人の結束は固まっていくことになります。
「ゆずれないもの」が定まった人間を、周りが助けてくれる良い例だと思います。


セイも、『ただ、自分を信じること…自分の大切なものを思って生きること、それだけが大事なのだ。私に何かを言われて、凹んで…行動を変えるようでは、ダメだ。』と語っています。
本作の登場人物の多くはお酒を飲んでいることから、20歳は超えていると思いますが、若者ではあると思います。
まだ若いのに、セイのように達観して、このように言い切れる人間は少ないでしょう。
彼は、恋人を死なせてしまった経験から、精神年齢が高いのだろうと考えられます。

本作をプレイしていると、色々なセリフが心を抉ってくるように感じられます。
主人公に感情移入してしまっているが故に、自分が叱られているような気分になるからかもしれません。
思えば、物語の開始時から提示された膨大な選択肢について、その時の気分で適当に決めていました。
しかし、物語が進むにつれ、選択肢の重みは増していき、真面目な場面でふざけることもためらわれるようになっていきました。

「どんな場面でもふざけた選択肢を選ぶ!」というゆずれない信念を持っているプレイヤーであれば、躊躇わずに、イロモノの選択肢を選び続けられるのだと思います。
しかし僕は、前半はふざけた選択肢を選びつつ、後半はシリアスな雰囲気に流され、真面目な選択肢を選んでしまいました。
それが何だか、「お前にポリシーはないのか?」と言われているような気がして、居心地の悪さを覚えました。

あまりポジティブではない感想の羅列になってしまいましたが、それで本作が面白くないわけでは、決してありません。
プラスの方向だろうがマイナスの方向だろうが、心を揺さぶられるというゲームというのは、とても貴重で、素晴らしい作品だと思っています。


恐らく、本作での正統なエンディングとしては、この画像のエンディングなのだと思います。
色々なものを捨てて理想を追い求める、どこか危うさも感じられる結末です。
しかしそれでも僕には、四人がどこか眩しく、羨ましく感じられました。
自らのゆずれないものを見つけて、そこに殉じられるのであれば、人生は素晴らしいものになるのかもしれません。

 

以下は、印象に残った場面について、いくつか語っていきます。

リカとのエンディングは、どのエンディングでも、何だか幸せそうに感じてしまいます。
これはおそらく、リカのような伴侶がいれば、人生はどんな状況でも楽しくなりそうだという、僕の中の願望ではないかと思われました。

実際、女性キャラの中では、リカが一番可愛いなと思います。
クーフィアは正直、面倒くさい性格なので、あまりお近づきになりたくありません。
しかし、最後まで「王子を守るお姫様になる」という、自分自身の憧れを貫き通している信念は、凄いなと感じます。
ただ、主人公個人への思いというよりは、「王子である主人公」への思いというイメージが最後まで拭えませんでした。
そのため、クーフィアからの純粋な恋愛感情というものは、あまりピンと感じませんでした。


職場にて、主人公が退職するとき、そのあっさりさに驚く同僚男性のシーンです。
精神が病むほどになってきているのに、辞めるという発想ができない状態は、やはりかなり異常なのだと思います。
自分が長年出来なかった選択を、主人公があっさりとやってのけるのを驚いているのは、視野狭窄に陥っている様子を的確に描いているようで、とてもリアルに感じられました。


ダンのパーティに加わって旅をする結末です。
クーフィアたちの問題はほったらかしのため、全く解決していませんが、これはこれで一つの選択だと思います。
お話として見れば、主人公の選択はとんでもなく冷淡なものだと思います。
しかし現実には、煩わしい人間関係をすべてぶん投げて、新たな環境でやり直すという方法も、大事な場合があると感じます。


エンディングの回収中、スキップしなければ何度も見ることになる、ジャンの残念そうな言葉です。
クーフィアの手紙を解読し、「さあ助けに行こう!」となるところで、「転職したいから行けないんだ」とか言えば、誰でも気が狂ったのかと思いますよね。
四人の決別が決定的になる選択をした際の、後ろ髪を引かれるセリフです。


リーフィアのセリフは、一見、良さそうなことを言っているように聞こえます。
しかし、結局クーフィアにとっての「ゆずれないもの」を否定することになるため、押しつけがましく感じられます。
リーフィア自身、結局は「こうなれば幸せになれる」という自らの理論でクーフィアを否定しているので、お互い交わらない考えを持った、難しい性格の姉妹です。

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