漫画「機動戦士Ζガンダム Define」(北爪宏幸)紹介・感想

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前書き

アニメ「機動戦士ガンダム」は、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」という作品があるように、大胆な漫画化がすでにされています。
この「THE ORIGIN」は単なるコミカライズではなく、大きく設定や展開が変更されていたり、より詳しく描写されているなど、新作といっても良いものでした。
この作品により一年戦争やシャアの過去が詳しく描写され、さらに映画化によって、ほとんど公式のように明確にされました。

そして、「機動戦士Zガンダム」は、長らく漫画にはなっていませんでしたが、2011年にようやく「機動戦士Ζガンダム Define」として、連載が始まりました。
この作品も「THE ORIGIN」のように、単なるアニメの漫画化ではなく、大胆にリメイクしているところが大きな特徴です。
作品に付く「Define」という単語からもわかるように「明確にする」「定義する」という意気込みに溢れている作品だと感じました。

作品紹介

本作は、2020年2月時点で、まだ完結していません(既刊16巻)。
流れとしては、同じ作者の前作である漫画「機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像」の続編という形で描かれています。
主人公はカミーユというわけではなく、シャア・アズナブルの目線を中心に描かれており、TVシリーズとはまた違った試みがあります。

TVシリーズでは、いちパイロットであるカミーユが中心だったため、作戦参加の経緯などが、やや唐突なこともありました。
実際、現場レベルのパイロットには作戦立案の経緯などは見えにくくなっているため、ある意味リアルではありました。
しかし本作ではシャアの視点で、エゥーゴの上の人たちとも話しながら作戦を立てているため、なぜここを攻めなければいけないか、という流れが分かりやすいという特徴があります。

キャラクター同士の会話やエピソードも充実しています。
アーガマのクルー同士のやり取りはもちろん、アムロとシャアのやり取りも多いですし、そういった部分でも見所はかなりあります。

また、敵役であるティターンズ側の掘り下げ方も、相当に力が入っています。
特にライバルであるジェリドは、その成長過程や心情面、他のキャラクターとの関係性などもよく描写されています。
ライラとの師弟関係や、オリジナルキャラであるシェリー・ペイジ少佐との絡み、マウアー・ファラオとの出会いなど、カミーユより丁寧に描写されているのではないかと感じてしまいます。
バスク・オム大佐やヤザンの有能感や、序盤でのパプテマス・シロッコ大佐(大尉が一艦隊を率いているのは不自然ということで変更されたらしい)とエゥーゴ首脳部との会談など、オリジナルのエピソードも多いですが、それがしっくりくる上手い展開が光ります。
この漫画を読んだ後は、ティターンズ側のキャラもかなり感情移入してしまうほど、引き込まれてしまいます。

他にも、ZZ以降の時代に繋がるキャラクターたちの顔見せもあります。
ZZで登場するルー・ルカや、CCAのチェーン・アギ、アクシズ側としてはグレミーやマシュマー、キャラ、イリアなど、前作に続いて出番があります。
色々な部分で「define」(明確にする)を意識した丁寧な描写のため、やや展開がゆっくりなところはありますが、ガンダムファンにも納得のクオリティではないかと思います。

感想(少しネタバレあり)

前項の作品紹介でも感想を書いてしまいましたが、とても面白いです。
正直なところ、同作者の前作「機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像」は、シャアの足取りの記録的な位置付けとしては意義がありましたが、エンターテイメントとしてはそれほど面白いとは感じませんでした。
しかし本作は、ストーリーのベースはZガンダムという面白いものがあるにせよ、今まで描写されてこなかった部分を明確にする描写が、とても納得できるもので面白いと感じました。
勝手な意見ですが、作者はひょっとすると、自由に書いていいと言われるより、すでにあるものを掘り下げたり理由付けをしたりすることの方が得意なのかもしれません。

やや賛否が分かれるかもしれないところは、オリジナルキャラとMSについてです。
前作にも登場したメカニックのスミレ・ホンゴウや、元ジオンのシャノンら女性パイロットたちなど、オリジナルのパイロットは有能な人物が多いです。
数で劣るエゥーゴ側が対等に戦うためには、個々の能力が高くないと辻褄が合わないので、これは仕方ない点かもしれません。
ただ前作「若き彗星」同様、エゥーゴ側のパイロットが強いため、戦闘の緊張感が少なくなってしまった感は否めません。
オリジナルキャラの中でも、ティターンズのシェリー・ペイジ少佐については、様々なキャラクターを掘り下げるのに役立っていたので、かなり好きなキャラクターです。
ジェリドの成長、シャアの能力の高さ、バスクの軍人としての戦略眼、戦争のシビアさなど、色々な役割を果たしていたように感じました。

シャアが乗る真っ赤なオリジナルMS「零式」は最初、どうかなと思いました。
しかし冷静に考えると、原作アニメで登場する金ピカの百式の方が、よっぽどぶっ飛んでいるよなぁと思い直したので、それよりは良いかと思っています。
性能やフォルム的にも、プロトタイプZガンダムと似ている雰囲気なので、自分としてはプロトZのつもりで見ています。

「Define」全体としては、オリジナル要素も含め、とても面白い作品というのは間違いありません。
前作はそれほどお勧めするわけではないのですが、本作をより楽しむためには、どちらも読んでおくと良いと思います。

 

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ひとりアウトプット広場

コメント

  1. ダビドフ より:

    >管理人様
    個人的には、うーん複雑な気分ですね。
    過去の名作は、原作者以外は、もしくは原作者であっても、できるだけいじらずそのままにしておいてくれ、と思う人間なので、確実に面白い漫画なのは間違いないんだろうけど、モヤモヤしますね。
    その理由として、後で付け加えようと思ったら、制限つけてもいくらでも無限に物語を都合よく付け加え可能なんですよね。それを富野ガンダムでは、出来ればやってほしくないなあ。とゆうのはわがままなのはわかってますけど、そう思ってしまいますね。

    THE ORIGINも素晴らしい作品で、安彦さんも大好きで、すごいクオリティの作品なのは間違いないんですけど、途中で受け付けなくなって見なくなってしまいましたし。

    紅白歌合戦のAI美空ひばりも、怖かったですし。

    過去の、たいしたことのないつまらなかった作品をリメイクして良くするのはそんなに気にならないですけどねえ。

    陶芸家が納得いかない作品を作ってしまったときその場で叩き割るのも似てると思います。
    納得いかない作品をそのまま残したり、つけたしたりしたら、それがずっと後世に残ってしまうので、もったいないけど割るしかないんですよね。

    後から見て足りないところを手直しや別のストーリーを追加したり、ここはこうだったんだよと説明したかったりキャラの掘り下げしたいのは重々よく承知してますけど、個人的にはTV版富野ガンダム周りは、美術的芸術作品という扱いにして、そのままそっとしておいてもらいたいですけどねえ。

    • losspass より:

      コメントありがとうございます。
      確かに、一度作品として世に出たものを、あれこれ色々な人がいじくりまわすのは、原作ファンとしては良い気持ちはしないですよね。
      僕は、娯楽は楽しめるのならそれでいいというスタンスなので、あまり気にしないようにはしています。

      ガンダムという作品は、1から10まで全部説明しないところに、想像の余地や面白さがあるとも思っています。
      ですので、あれこれ外伝で後付けするのは野暮だという意見はよく聞きます。
      だからこそ、色々な人が自分なりの解釈を描いてみたくなるのかもしれませんが。

      とりあえず、劇場版の閃光のハサウェイ公開がとても待ち遠しいです。

  2. ダビドフ より:

    >管理人様
    見苦しいコメントをしてしまって、ほんと申し訳ないです。

    その理由が、直前のディズニー映画のリメンバー・ミーとゆう作品がTVでやってましたので視聴したわけですが、ディズニーが自分が作った作品に対しての、その圧倒的なまでのプライドと自信を見せつけられた直後だったから、それと比べてしまって、おかしなコメントしてしまいましたよ。

    もう今はコロナで、そんなこと気にしている場合でなくなってしまいましたよ。まさかこんな大事になるとは夢にも思わなかったです、こんなことを気にしていた時が遥かな過去に思えますよ。

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