WOLF RPGエディター製のRPG『ブレイカーハーツ』をプレイして、クリアしました。
Twitterでのツイートや、もぐらゲームス様の記事で作品のことを知り、興味を持ってプレイしました。
ウディタ製ということを感じさせないほど、システムやインターフェースに凝って作られた作品です。
戦闘難易度はやや高めという印象です。
初回のクリア時間は5時間ほどでしたが、エンディング回収などをすべて含めると、8時間ほどでした。
目次
ゲーム概要
『ブレイカーハーツ』は、4人の少女を指揮し、「シンズイ」を目指して戦っていくRPGです。
戦闘はほとんど自動的に進み、プレイヤーが介入できる行動は「覚醒」(後述)するタイミングだけです。
行動と条件を設定すればその通りに行動し、敵もルールから外れた行動はしてきません。
偶然の要素が絡まないため、パズル的思考が必要となってきます。
会話イベントなどでは、選択肢により各キャラに対応した「ココロ」を手に入れることができます。
このココロを消費して、パーティーを強化していきます。
ココロによってエンディングが分岐していくため、数に注意してプレイする必要があります。
探求
「シンズイ」へ向かい、階層突破を挑むコマンドです。
階層途中には敵や報酬が配置されています。
全滅してもペナルティは無く、ホームへ戻されるだけです。
戦闘と戦闘の合間に回復することができないため、階層全ての戦闘を考慮して、事前に準備する必要があります。
なお、途中で入手した報酬は全滅しても無くなりません。
そのため、まずは一戦目の突破して報酬の獲得を目標にすると良いでしょう。
全ての戦闘に勝利すると階層突破となり、次の階層へ進むことができます。
作戦
報酬で獲得した「心装」(いわゆるスキル)をセットする画面です。
一番上の欄のコマンドから順に実行されていき、条件に該当しない場合は、その次の行動の判定に移ります。
探求時には、途中で変更することができないため、よく考えてセットしましょう。
本作の戦闘の基本は試行錯誤なので、この画面で頭を悩ませる時間が多いと思います。
自分の狙い通りに作戦が決まった時は、大きな快感が得られることでしょう。
記憶
探求時に得られる「記憶の欠片」を消費することで、色々なエピソードを閲覧するコマンドです。
本編中とは違った役割を与えられたキャラクターたちが、様々な寓話を演じます。
選択肢によってココロが得られるほか、新たな心装を獲得できたり、覚醒コマンドが解放されたりします。
取引
獲得したココロを店員・ナルに捧げ、ステータスを強化するコマンドです。
パラメータへの振り分けは自由にやり直せるので、戦闘に行き詰まったら色々と試してみましょう。
一度取引を利用すると、「作戦」コマンド内から実行できるようになります。
戦闘
戦闘はターン制のオートバトルで、速度が高い者から行動していきます。
敵も味方も、定められた条件の通りに行動していくため、何も設定を変えないのであれば、戦闘は全く同じ結果となります。
記憶の欠片によって解放される「覚醒」コマンドは、MPを消費するかわりに、一時的に能力をブーストするコマンドです。
ターン開始時に発動することができ、一度実行すると戦闘が終わるまで解除はできません。
覚醒状態ではMPが毎ターン減っていき、0になると暴走状態になります。
暴走状態になると、作戦とは無関係に、ひたすら相手に攻撃することを繰り返します。
攻撃手段の使用回数がシビアな本作では、わざと暴走させて攻撃することが立派な戦術となり得ます。
感想(ネタバレ無し)
エンディングA~Cまで一通り見て、回想もすべて集めてクリアしました。
結論から言うと、やや万人向けではない作品だとは思いますが、僕は熱中して楽しめました。
本項では、プレイ前の人に向けて、内容についてのネタバレはしないように、感想を書いていこうと思います。
ゲームの導入については、オープニングからとても引き込まれました。
プレイヤー自身に問いかける質問や、実際に操作させるチュートリアルで、作品の世界に自然と引き込まれていきました。
分からないことだらけの状況ですが、主人公の出現によって探求を進めることができそうだと、事態が動き出すのが感じ取れました。
戦闘は、フリーゲーム『ランナーズ・エクリプス』を思い起こさせる、プログラミングのように行動パターンを組んで戦う方式です。
ただし、本作は一対一でなく多対多の戦闘なので、戦闘前にどんな結果が出力されるか、完全には予想しにくいです。
一人の行動を少し変えるだけで、バタフライ現象のように結果が大きく変わることもあり、そこが面白いなと感じました。
慣れてくると、覚醒コマンドやバフ・デバフを上手く使い、ゴリ押しする戦法もできます。
戦闘に一つの明確な解答が用意されているというよりは、大まかな方向性が合っていれば突破できる緩さが感じられました。
逆に、やり込みプレイにチャレンジしたくなるシステムとも言えるでしょう。
ボタン連打で勝てるタイプの戦闘ではないので、考えたくない人には向いていないかもしれません。
キャラクターについては、明確に個性が分けられており、魅力がありました。
キャラの見た目にそぐわない謎掛けのような会話は、通常のRPGの会話とは異なり、ノベルゲームのような濃さがあります。
選択肢によって変化するテキストも、かなりのボリュームがあるので、周回も楽しめると思います。
文章を読むのが苦手な人が、普通のRPGと思って本作をプレイすると、少し面食らってしまうかもしれません。
グラフィックは統一感があり、ゲームの雰囲気とも調和していたように感じられました。
剣呑な発言内容に相応しい、少女たちの邪悪な表情がしっかり用意されており、バリエーションには満足しました。
音楽については、耳に残る物悲しい曲が良い雰囲気を出していました。
特に、ホームで作戦を設定している際のBGMと、探求時と戦闘のBGMは、聴いている時間が長い割に飽きずに耳に染み込んでいきます。
ストーリーについては、プレイヤーの感性によって評価が分かれるところだと思います。
ストーリー内容の解釈は、ゲーム内である程度説明されています。
そこから踏み込んでさらに考えるのか、それともさらっと理解するに留めておくのか、どちらのスタンスも否定しない作品だと思います。
クリア後に、周回プレイやイベント回収しやすいように回想モードが用意されているのは親切だったと思います。
攻略(ネタバレ有り)
本作の戦闘は、慣れていない人にとっては、コツを掴むのが少し難しい作品だと思います。
難しいなと思ったら、ゲームに同梱されている「manual -基本-」と「Hint -攻略メモ-」をよく読むことをお勧めします。
以下に、僕が実際にゲームをプレイしながら書いた攻略メモを記していきます。
本項目は、バージョン1.00の作品をプレイしたときに書いているものです。
全体的なコツ
・試行錯誤のコツ
とりあえず、探求で戦闘に突入しましょう。
そうすると、誰かがすぐ倒されるとか、HPが少ない敵に大技で攻撃して勿体ないとか、そういった問題点が出てくると思います。
そういった点を一つずつ潰して修正していくことが本作攻略の基本的姿勢だと思っています。
・上げるべきステータス
「攻撃力≧HP>防御力」という優先度で強化していけばいいと思います。
僕の場合、速度や属性耐性はほぼ触りませんでした。
(この辺りを活用すると、本当はもっとスマートに攻略できるのかもしれません)
・付けるべき心装
攻撃力、HP、防御力の値をプラスする心装はダイレクトに役立つので、優先的に付けましょう。
また、攻撃役のキャラは、攻撃手段を多めに装備させるようにしましょう。
能力をアップ/ダウンさせるバフ/デバフ系の心装は、唯一設定しないと、ずっとその行動ばかりしてしまう可能性があるので、注意しましょう。
階層別攻略
・一層
二戦目に到達する頃には、各キャラの技の使用回数が意外と少ないことに気付くはずです。
使用回数が無くなると何も行動しなくなってしまうため、タイミングを見て覚醒し、暴走状態になることも重要です。
MPが0になって暴走すれば、1倍攻撃はし続けられます。
HPや攻撃を中心に強化していけば、戦っていけるはずです。
・二層
すぐにやられてしまう味方が気になり始めるころだと思います。
メグミのHPと防御を強化し、「虚栄のアリア」を使用して覚醒させておけば、パーティー全体の被ダメージを抑えられます。
シズクの「回復」&「HPが50%以下の味方」なども併せて設定しておくと盤石でしょう。
・三層、四層
配置されている敵が少ないため、僕の場合、試行錯誤しなくても突破できました。
・五層
最初の難関かもしれません。
最後の戦闘の「因縁」は耐性と防御が髙く、暴走状態ではダメージを与えることができません。
各メンバーの強力な技を温存しておき、覚醒状態で強力な技を繰り出すことが重要となるでしょう。
技を「唯一」設定にして、3戦目までの乱用を防止したり、バフ・デバフで一撃の効果を高めるなどの調整が必要です。
オススメは、トウカの二重覚醒込みの「赤き暴虐」一撃分を温存して、それ以外で三戦目までをこなせるようにセットする戦法が分かりやすいです。
ココロ集めもしっかりこなして、ステータス強化も怠らないようにしましょう。
・六層
戦闘の数は多いですが、暴走状態では攻撃が通らないという敵はいないため、最悪ゴリ押しでも勝てると思います。
・七層
最初から速攻戦法で突破しましょう。
初戦は、各属性の耐久を持つ敵がいるので、味方それぞれが耐性の無い敵を攻撃できるようにセットしましょう。
各メンバーの攻撃力を高く割り振り、心装も攻撃力が上がる組み合わせにしておきます。
一戦目で、ある程度味方が健在であれば、二戦目はそれほど苦戦しないと思います。
三戦目は、覚醒を使用して、1ターン目でなるべく多くHPを削れるように行動しましょう。
敵の攻撃力が高く、長期戦は望めないので、短期決戦を心掛けましょう。
一戦目~二戦目で、覚醒を使うタイミングを色々と試行錯誤すれば、勝ち抜くことができると思います。
・八層
一戦目が一番キツイ印象で、ここでどれだけ被害を抑えられるかが勝負だと思います。
攻撃能力が高くないメグミに攻撃が集中するように調整して、最終覚醒で攻撃を凌ぎます。
他のメンバーは火力の高い攻撃で、HPの低い敵に攻撃を集中して、一体ずつ確実に数を減らしていくイメージで戦いましょう。
3人以上生き残っていれば上出来でしょう。
二戦目と三戦目は、それほど苦戦しないと思います。
三戦目の敵の攻撃力は高くないので、全員が暴走して長期戦に持ち込めば、問題なく勝てると思います。
・九層
三戦目の「鼓動」は、こちらのHPが100%のときと、HP50%以下のとき以外は行動してきません。
したがって、HPの調整さえ上手くいけば、覚醒のタイミングを「ハートブレイク」に合わせて大ダメージを与えることが可能です。
五層目攻略時のイメージを持って、攻撃能力の高いトウカのHPを調整しつつ、三戦目まで上手く温存することができれば、楽に戦うことができると思います。
・十層
一戦だけなので、パズル的試行錯誤が必要ですが、やりやすいと思います。
それぞれ耐性の低い相手への、初手最終覚醒ハートブレイクを基本として、上手く順番を調整して戦術を構築していきましょう。
防御はほとんど必要ないので、心装やステータスを攻撃力に全振りして準備します。
水耐性が低い敵だけは、低いと言っても耐性が50あるため、多少組み合わせを考える必要があるかもしれません。
・シンズイ
画面右上にストックしている現在のココロの量で、個別キャラのルートが決まります。
ナルに捧げたココロの数は関係ないので注意しましょう。
見たいキャラクターのココロを、他の種類より一つだけでも良いので、多くしておきましょう。
全ての種類が同じ数の場合はBエンドとなります。
Aエンドの場合、ほとんどイベントバトルのようなもので、戦闘中の作戦変更もできます。
相手に攻撃を許す暇は無いので、初手最終覚醒ハートブレイクが唯一の勝ち筋となります。
万が一倒されてしまっても、すぐにやり直せるので、それほど気にすることはありません。
Bエンドは味方同士のバトルですが、2ターン目以降の交戦開始前に、キャラ立ち絵の胸の部分にあるココロをクリックできます。
個別エンドを見たいキャラのココロを毎ターンクリックし続けましょう。
4種のココロを15個以上ナルに注いでいる場合、Cエンドへと進みます。
・クリア後
周回を選ぶと、ココロだけはリセットされ、手に入れた心装を引き継いでプレイすることができます。
周回プレイの場合は、探求画面に「殲滅」コマンドが出現し、これを押すことで、無条件に次の階層へと進むことができます。
報酬は通常通り入手できるので、一度も戦闘を行わずクリアすることが可能です。
(ver1.00などの初期のバージョンでは、引き継いで周回プレイをすると、報酬が手に入らない不具合があるため、注意が必要です)
未使用の「記憶の欠片」は、周回プレイに持ち越せるので、その気になれば一層から最終覚醒を使用することが可能になります。
また、メイン画面から「回想」を選ぶことが可能になっており、未回収のイベントを確認することができます。
回想中は選択肢が出現するので、増減するココロの確認や差分テキストの確認にも便利です。
選択肢によるココロ増減表
主に回想や周回プレイで調べたココロの増減値です。
「選択肢3」というのは、上から3番目の選択肢という意味です。
条件 | 直前のログ | 選択肢1 | 選択肢2 | 選択肢3 | 選択肢4 | 選択肢5 |
OP1 | 「あなたにとって夢とはどんな物ですか?」 | 赤 | 地 | 風 | 水 | ─ |
OP1 | 「”祈り”という単語から、あなたは何を想いますか?」 | 地 | 風 | 水 | 火 | ─ |
OP1 | 三問目。「この中で願いが叶うとしたらどれ?」 | 火 | 地 | 風 | 水 | ─ |
OP1 | 四問目。「この属性の中で憧れるものはどれ?」 | 地 | 水 | 風 | 火 | ─ |
OP1 | 今度は素直に上がるのでご安心を。 | 火 | 水 | 地 | 風 | ─ |
一層突破 | どうして戦う力はボク達に与えられたのに、・・・ | 火2 | 水2 | 地風1 | ─ | ─ |
三層突破 | まぁそうだけどさ。 | 火水1 | 地風1 | ─ | ─ | ─ |
五層突破 | そだね。ごめん。 | 風2 | 地2 | 地2 | 水2 | 火2 |
七層突破 | 土壇場まではわからないけれど、・・・ | 風2 | 地2 | 火2 | 水2 | |
店1回目 | ブレイン様。この世界や、彼女達をあなたは好きに・・・ | 風2 | 水2 | 火2 | 地2 | |
店2回目 | ついつい、それが言い回しに出てしまったのでしょう。 | 火2 | 水2 | 地2 | 風2 | ─ |
店3回目 | それも、存じています。 | 火2 | 風2 | 地2 | 水2 | ─ |
店4回目 | そんな崇高なものじゃないよ。・・・ | 火2 | 地2 | 水風1 | ─ | ─ |
火5以上 | でも、本当に好きなのは。・・・ | 火地1 | 風2 | 水2 | ─ | ─ |
火10以上 | ねぇ、ブレイン。一つ訊いていいかな。・・・ | 水2 | 火2 | 風2 | 地2 | ─ |
火15以上 | あ、ブレイン。来てたんだ、ごめんね、気づかなくて。 | 水2 | 火2 | 地風1 | ─ | ─ |
火20以上 | 何故なら、貴方は。私達の絶望でなくてはいけないのだから。 | 水2 | 風2 | 地2 | 火2 | ─ |
水5以上 | そんなあなたもわたし達のことは、・・・ | 火風1 | 水地1 | ─ | ─ | ─ |
水10以上 | このまま、今までのように、壊して壊して、・・・ | 風2 | 火2 | 水2 | 地2 | ─ |
水15以上 | ただ、周りの人達の意思を尊重したい、そうは思っているけれど。 | 地2 | 風2 | 水2 | 火2 | ─ |
水20以上 | ……わたしに、誰かを愛する資格なんて無いからさ。 | 風2 | 水2 | 地2 | 火2 | ─ |
地5以上 | もしかして、痛かったりするのかしら? | 風2 | 地2 | 火2 | 水2 | ─ |
地10以上 | そんな彼女は私のこと……ううん、何でもないわ。 | 次の選択へ | 水地1 | ─ | ─ | ─ |
地10以上 | そんな彼女に、私がどう思われているのか……。 | 風2 | 地2 | 水2 | 火2 | ─ |
地15以上 | それともただ、思ったことを口に出してしまう私の弱さ・・・ | 水2 | 地2 | 風2 | 火2 | ─ |
地20以上 | 恐怖という感情は── | 火2 | 水2 | 風2 | 地2 | ─ |
風5以上 | でもね、それを遠い遠いどこかの”誰か”に・・・ | 水2 | 火2 | 風2 | 地2 | ─ |
風10以上 | ……うん、そんな世界、あたしはいやだな。 | 水2 | 地2 | 火2 | 風2 | ─ |
風15以上 | あんたが目指さなければ、ブレインなんて偶像を・・・ | 火2 | 地2 | 風2 | 水2 | ─ |
風20以上 | 例えそれがどれだけ無為でも、例えそれがどれだけ滑稽でも。 | 火2 | 地2 | 風2 | 水2 | ─ |
覚醒 | やっと来てくれたご主人。さっさと散歩に行こうニャン。 | 火2 | 風2 | 水地1 | ─ | ─ |
覚醒アフター | 話してくれてありがとう。 | 水地1 | 火風1 | ─ | ─ | ─ |
孤独 | テキスト無し | 火2 | 地2 | 風2 | 水2 | ─ |
孤独アフター | ん、そうする。 | 風2 | 火2 | 地2 | 水2 | ─ |
正義 | 時として、決して許されることない罪業を背負う人間が・・・ | 火地1 | 火地1 | 火風1 | 風2 | 再選択時、水2 |
正義アフター | ならいっそ、その不条理を楽しんでしまえばいい。・・・ | 水2 | 地2 | 火2 | 風2 | ─ |
英雄 | 決めなきゃ、ね。私は、私達は── | 地2 | 風2 | 水2 | 火2 | ─ |
英雄アフター | ──笑いながら、朽ちていくその様は、見ていてとても・・・ | 火2 | 火地1 | 水2 | 風2 | 地2 |
殺戮 | せっかく一つしか無い命だもの。奪うのなら精々・・・ | 地風1 | 火2 | 水2 | ─ | ─ |
殺戮アフター | キミが共に過ごしているボク達は、ここに居るよ。 | 火2 | 水地1 | 風2 | ─ | ─ |
選別 | *見捨てた人数により変動? 0人or1人or2人or3人 | 地2 | 水地1 | 水地1 | 風2 | ─ |
選別アフター | 全てはより多くの人を救う、ただそれだけのために。 | 地2 | 水2 | 火2 | 風2 | ─ |
渇欲 | この、気持ちは何だろう。 | 火2 | 地2 | 水2 | 風2 | ─ |
渇欲アフター | たしかに。 | 地風1 | 水2 | 火2 | ─ | |
贖罪 | ゆるしてよ。わたし自身が許さないから、絶対にいつまでも・・・ | 水2 | 地2 | 火2 | 風2 | ─ |
贖罪アフター | 無断で許可無く人の物を穢して、よくもそう吠えれたものだ。 | 風2 | 火2 | 地2 | 水2 | ─ |
結末 | *ココロ増減はなし | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
結末アフター | 寂しいよね。 | 火2 | 水風1 | 地2 | ─ | ─ |
感想(ネタバレ有り)
自分の根源について
「殲滅」が使用できる二周目以降、戦闘を一度も行わずにココロを集めたところ、僕の根源は「悲しみ」でした。
水のココロが多く、それ以外はあまり偏りがないと言えそうです。
同族嫌悪かもしれませんがシズクはやや苦手で、トウカが好きなキャラでした。
一見スポーツ少女のような見た目のトウカですが、知的な印象が強かったです。
ココロに残った場面についての感想
『ブレイカーハーツ』では、心に残るシーンがとても多くありました。
特定の選択肢を選んだ先の会話でしか見られないシーンも多く存在します。
周回できる作品ではありますが、自分自身と向き合うための作品という位置づけなので、1プレイの唯一性を強く意識したデザインだと感じました。
以下、個別に語っていきます。
「殺戮」の記憶より、「プレイヤーにとっては暇つぶしでも、トウカたちにとっては本物である」と言われるシーンです。
本作では、何度もこういったセリフや演出がなされます。
プレイヤーにとっては結局ゲーム内のセリフだと思っていても、このように言われると胸に刺さります。
選択肢を選ぶ際に、適当な気持ちで選ぶのではなく、しっかり考えて選ばなければと思わされる場面でした。
シズクAエンドより、「シズクも壊したい」を選んだ際のシーンです。
トウカの「殺戮」でも、興味本位で選んで公開したのに、ここでもまた最初のプレイで選んでしまいました。
シズクがこちらの希望を事も無げに受け入れて死んでしまうため、自分のせいですが、後味の悪い結末となってしまいました。
興味本位で選んだ選択で後悔するというのが、僕の本質なのかもしれません。
「メグミココロ3」より、「もっと強くなれないのか」を選んだ際のシーンです。
恐怖に耐えながら頑張っているのに、こんなことを言われれば怒るのも無理もありません。
こちらのお気楽さを鋭く批判した言葉が、深く心に刺さります。
こちらが「勘違いだよ」と言い訳した後の、「願わくば、使えない駒である私を使って、全ての敵を蹂躙してくれると助かるわ。」「あなたの暇つぶしで、私達の生に意義が産まれるのだから。」といったセリフは、最高に皮肉が効いています。
そのほか、心装のフレーバーテキストでは、各キャラのポエムのようなコメントが読め、色々と想像が働きます。
特に、各耐性をプラスする心装のテキストが、それぞれのメンバーに向けたメッセージになっており、面白いなと感じます。
考察(ネタバレ有り)
本作は一見、4人の少女たちと交流を深めながらダンジョンを潜っていく、戦闘が独特のRPGというように見えます。
しかし実際にプレイすると、プレイ前と全く異なる印象を持たせられるゲームでした。
ナルの「何もかもの真相をおしえて」や、トウカのAエンドなどを参考にしながら、本作は何だったのか、自分なりの解釈を考えてみようと思います。
以下の項目は、ネタバレ前提の内容なので、一通りクリアした後に読むことをお勧めします。
『ブレイカーハーツ』とは何なのか 深度1
表面的には、『ブレイカーハーツ』は、プレイヤーが自分と向き合うための心理テストのようなものだと言えるでしょう。
ナルが説明するように、プレイヤー自身が自分と向き合うため、様々な体験を与えているものだということです。
喜怒哀楽(正確に言うと、怒り・喜び・恐れ・悲しみだと思いますが)をモチーフとする4人の少女と交流しながら様々な体験をして、自分自身がどういう人間なのか向き合うことを求められます。
我々プレイヤーは「記憶」と銘打たれた様々なシチュエーションの中で、どのような考えに賛同するのか問われ続けます。
「記憶」と言いながらも、過去にあったかもしれない内容、そして未来にあるかもしれない内容と、その位置付けは曖昧です。
シンズイに到着する頃には獲得するココロの種類に偏りが表れ、自分の属性が何なのかはっきりさせられることでしょう。
『ブレイカーハーツ』とは何なのか 深度2
本作は心理テストのようなものと書きましたが、その点について、もう少し書こうと思います。
プレイヤーの名前はブレイン(=脳)であり、4人の少女(=喜怒哀楽)に指示を出しています。
この関係性は人間でいうと、脳と情動の関係に似ています。
本作に出現する敵の名前に注目すると、「怠惰」「慈悲」「家族」「理想」など、現実の様々な出来事を抽象化した概念の名前がつけられています。
オープニングで、4人だけではずっと勝つことができず、ブレインがやって来ることでようやく勝てた描写がなされています。
これは、感情に任せて物事にあたっても、上手くやっていくことはできないということを表しているのではないでしょうか。
本作における戦闘とは、いわば脳という司令塔で情動を有機的にコントロールし、現実に立ち向かっていく姿を描いているのだと思います。
ゲーム同梱の「manual」によれば、各パラメータは以下のように説明されています。
これらの力は、どれも人生において様々なものを切り抜けていくための力です。
本作『ブレイカーハーツ』のゲーム部分は、人生を模した形になっていると考えられます。
『ブレイカーハーツ』とは何なのか 深度3
前項で『ブレイカーハーツ』のゲーム部分は人生を模しているのではないか、と書きました。
ここから先は、それを前提とした僕の解釈について書いていきます。
少し飛躍している部分や、こじつけがあるかもしれません。
僕は、この作品は「プレイヤーが『走馬灯』を体験する作品」ではないかと解釈しました。
死の直前に、今までの人生が一瞬にして通り過ぎていくという、あの走馬灯です。
シンズイとは、つまり走馬灯の終焉のことであり、そこに辿り着いたら死んでしまうという内容と合致する気がします。
4人の少女は、自分の内面と向き合うための存在ですから、シンズイに至れば、役目を終えていなくなるのは納得できます。
以下の表に記したのは、各階層の敵の名称です。
一層、二層、三層・・・というのは、それぞれ0~10歳、10~20歳、20代~30歳・・・というように、人生の各年代を表しているのではと思います。
少しピンとこないワードもありますが、何となく、各年代のイベントに対応したワードになっている気がします。
十層の敵は、4人の少女たちそのものであると言えます。
階層 | 順番 | ||||
一層 | 1 | 怠惰 | 安穏 | 信仰 | |
2 | 昼寝 | ||||
3 | 音楽 | 平穏 | |||
二層 | 1 | 献身 | 慈悲 | 愛憎 | 依存 |
2 | 快楽 | 家族 | |||
3 | 孤高 | ||||
三層 | 1 | 破壊 | 守護 | 哀哭 | |
2 | 憤怒 | ||||
四層 | 1 | 名声 | 勇気 | 傲慢 | |
2 | 栄光 | ||||
五層 | 1 | 狩猟 | |||
2 | 報復 | ||||
3 | 逆襲 | ||||
4 | 因縁 | ||||
六層 | 1 | 盲愛 | 妄執 | 背信 | |
2 | 不信 | 疑心 | |||
3 | 羨望 | 渇望 | 尊敬 | 畏怖 | |
七層 | 1 | 理想 | 日常 | 学習 | 調和 |
2 | 自己 | ||||
3 | 欲望 | ||||
八層 | 1 | 葬儀 | 共涙 | 犠牲 | |
2 | 別離 | 摂理 | |||
3 | 悲哀 | ||||
九層 | 1 | 成長 | 逢瀬 | ||
2 | 葬式 | 誕生 | |||
3 | 鼓動 | ||||
十層 | 1 | 友愛 | 諦観 | 激情 | 豊穣 |
人の死は通常、心臓(heart)が死ぬと脳(brain)も死ぬ、というように進んでいきます。
このことから、ココロ(heart)である少女たちが死んだ後に、ブレイン(brain)が死ぬというのもしっくりくる気がしました。
本作の『ブレイカーハーツ』は、「心を破壊するもの」という意味に加えて、「心臓を止めるもの」という意味も含んでいるように感じます。
書きながら自信が無くなってきているので、いい解釈を思いついたら追記していこうと思います。
「走馬灯」説の他に、「植物人間状態のプレイヤーが心臓死を目指す」説や、「脳内データを分析してコピーする装置」説など、色々アイディアはありました。
ゲーム起動時に、何らかのシステムに接続する演出があるので、機械的なものが関係していそうな気はしています。
この辺りの解釈は、かなり自由に楽しめるのではないでしょうか。
その他の疑問に対する雑記
そのほかに、作品内で気になった場面等を語っていきます。
特に何かしらの結論があるわけではないので、ご了承ください。
「フウカココロ2」で「子供はどうなるの?」という選択肢を選ぶと、出産方法の話題になります。
その中で、「励起出産」という聞きなれない言葉が出てきます。
励起という言葉は存在しますが、励起出産は造語だと思いますので、造語を出してまで説明しているこの話題には、重要な意味があるように思います。
励起とは、量子力学において、物体が高いエネルギーを持つことだそうです(wiki調べ)。
フウカ達の世界で「励起出産」なる方法があると考えるなら、彼女たちの世界は、素粒子や原子などの極小の世界であると考えられます。
「あらゆる源になるその風景を二つ混ぜ合わせて、崩壊せず辛うじて新しい風景を描けるのなら、そこで初めて新しい命が産まれる」(フウカのセリフより)というのは、素粒子を何兆回も衝突させ合う加速器を連想しました。
脳の振舞いには、量子力学的な性質が深く関わっているという暗示なのかもしれません。
(量子脳理論)
シンズイに居た4人の少女の正体は何なのか、というのは気になるポイントです。
僕の解釈としては、おそらくパーティーメンバー4人とは別の感情を概念化した存在なのだと思います。
「プルチックの感情の輪」によれば、人間には8つの一次感情があるとされています。
フウカ・メグミ・シズク・トウカが、それぞれ「喜び・恐れ・悲しみ・怒り」をモチーフとしているのなら、シンズイの4人は「信頼・驚き・嫌悪・期待」を表しているのではないでしょうか。
ナルの存在は、最初の会話でも話しているように、この分析装置のサポートシステム的な存在なのでしょう。
ただし、4つの少女たちのココロが注がれることで、作品内の存在でありながら、一番プレイヤーに近い存在になるのだと思います。
ナルルートであるCエンドが外道というのなら、それは本来の目的(プレイヤーが自分と向き合うこと)が果たせられていないエンドとして考えられると思います。
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