フリーゲーム作品の中で、人気があるジャンルと言えばRPGです。
フリーのRPGの中でも、特に長編RPGというのは、昔から根強い人気があると強く感じます。
僕も、小さいころから「ドラゴンクエスト」シリーズや、「ファイナルファンタジー」シリーズで育って来たこともあり、とても好きなジャンルのひとつです。
フリーゲームでも、過去に素晴らしい長編RPGはたくさん公開されており、こんな作品が無料で楽しめるなんて、と驚愕してきたものです。
ストーリーが面白い作品、戦闘が面白い作品、キャラクターの魅力が凄い作品など、色々な作品があります。
今回紹介する長編RPG「ロストヘヴン」は、特にストーリーがとても面白い作品です。
どんどん先が気になり、サクサク進めることができるため、止め時がありません。
腰を据えて王道なRPGをプレイしたい人に、強くお勧めできる作品です。
クリア時間は、約15時間でした。
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目次
ゲーム概要
「ロストヘヴン -Lost Heaven-」は、オーソドックスな長編RPGです。
序盤のあらすじは、以下のようなものです。
次に、戦闘についてです。
「ロストヘヴン」の戦闘は、コマンドバトル方式です。
全員分のコマンドを入力し、敏捷が高いメンバーから順に行動していくという方式です。
通常攻撃の他に、MPを消費するスキル(技や魔法)、TPを消費する強力な「奥義」があります。
TPは基本的に、戦闘時しか溜まらず、戦闘が終了すれば初期値に戻ります。
そのため、TPが溜まったら、奥義はすぐに使ってしまう方が良いでしょう。
画面右に見える「Bonus Gauge」は、戦闘中で誰かが行動するたびに、どんどん溜まっていきます。
ゲージが満タンになると、パーティーに何らかの有利な効果が発動し、今度はゲージが減っていきます。
ボーナス内容としては、「防御力2倍」や「攻撃力2倍」だったり、「経験値2倍」「アイテム入手数2倍」など、様々な内容があります。
ゲージが無くなるまで効果は持続します。
戦術に組み込むには、ランダム要素が強いので、発動したらラッキーくらいに考えておくと良いでしょう。
メニューの装備画面は、以下の画像のようなデザインです。
武器・盾・頭・体と、アクセサリーは3種を身に付けることができます。
アクセサリは、かなりの種類があるため、組み合わせ次第では非常に強力になります。
特定の属性攻撃がキツい強敵戦などでは、その攻撃に合わせた耐性のアクセサリーを装備することで、楽になったりもします。
そのほかに特徴的なシステムとしては、マップ上のサブイベントです。
街中やダンジョンなどを移動していると、上の画面のような吹き出しが配置されていることがあります。
仲間同士のちょっとした会話であったり、ゲームの進行に役立つヒント、雑談など、色々な内容が用意されています。
見なければクリアできないというものはありませんが、キャラクター同士の掛け合いで、より深くゲームを楽しむことができると思います。
特にそういったものを求めていないプレイヤーであれば、気にせずにどんどんストーリーを進めていくことも可能です。
次に、セーブ数についてですが、おそらく上限は無いのかなと思います。
僕はセーブするごとに、どんどん新しいデータを作成していきましたが、クリア時点で100個を少し超えるほどでした。
どこまで多く出来るかは検証していませんが、通常のプレイをする限り、セーブファイルの数を心配することはないはずです。
ただし、read me内では、セーブデータ数は99個までの使用を推奨しています。
100個以上のデータ保持については、予期しない不具合が起きる可能性もありますので、ご注意ください。
感想(ネタバレ無し)
ストーリー重視と書かれている通り、物語がとても面白かったです。
テンポ良く話が進んでいき、どんどん物語が動いていくため、先に進めたくなる気持ちが強く持続しました。
戦闘は「ふりーむ!」の紹介ページにも明記されているように、低難度です。
通常戦闘は、オートバトルでも十分戦える難易度です。
ボス戦は、さすがにオートバトルでは辛いですが、マニュアルで操作すれば、負けイベント以外で全滅することは少ないと思います。
通常戦闘はオートで、ボス戦は手動で操作しないと辛い難易度というバランスは、とても絶妙であると感じます。
苦戦して、装備を整えたりすることは数回ありましたが、レベル上げという行為はした記憶がありません。
それくらい、初見で突破できるボスがほとんどです。
ダンジョンは、短めでクリアしやすいです。
宝箱には回復アイテムや装備品などが多く配置されていますが、そもそもの難易度が高くないため、回収し損ねても痛くありません。
謎解きが必要なダンジョンもありますが、それも難しくはありません。
エンカウント率も元々低めに設定されていますし、序盤にエンカウント率を調整するアクセサリーが手に入ります。
したがって、ダンジョンでストレスを感じることは少ないと思います。
ゲームとしての難易度や歯応えを求める人にとっては、本作は物足りなく感じるかもしれません。
しかし「ロストヘヴン」は全体的に、物語に集中して楽しめるようにゲームデザインされていると思います。
物語の面白さと、戦闘やダンジョンの低難度が噛み合い、ストレスを感じずに熱中し、ガンガン先へ進めてしまう中毒性があります。
マップ上の吹き出しを調べることで、仲間同士のスキットが始まるのも、上手い作りだと思いました。
強制的に見なければいけないストーリーシーンでは、メインシナリオが中心に語られます。
メインシナリオと関わりの薄いサブイベントは、見るかどうかはプレイヤーの判断に委ねられています。
ストーリーに関わりのないやり取りを、強制的に見せられるのが嫌なプレイヤーにとっては、そういったサブイベントを見るかどうか選べることができるのは良かったと思います。
僕自身は、どちらかと言えばどんどん物語の先が知りたくなるタイプです。
しかし本作では、マップ上の吹き出しを、自分から能動的に見に行っているので、不思議とストレスは感じませんでした。
プレイヤー自身が「見る」という選択をしているから、ストレスを感じないのかもしれません。
以上のように、本作は、物語を重視して楽しむように出来ている作品です。
肩肘を張らずにサクサクプレイすることができるので、腰を据えて長編RPGをプレイしたい人にはお勧めしたいです。
クリア時間は15時間ほどですが、長く感じないと思います。
攻略メモ(ネタバレ有り)
本作は、戦闘の難易度は高くないため、詰まるところはほとんどないと思います。
しかし、出来るだけ楽に戦うためのコツはあると思ったので、その辺りをメモしておこうと思います。
ステータス上昇&低下スキルを活用する
攻撃力や防御力を上下させる効果は、どんなボスにも有効です。
ライゼの「破刃」やティサラの「ウェポンカース」は、物理攻撃力を下げる効果があります。
敵の攻撃力を下げられれば、味方の安全が確保でき、攻撃する機会を増やすことができます。
これらの上昇・下降効果は2段階までかけられるので、なるべく2段階変化させた状態をキープするように戦うと、ボス戦がかなり楽になります。
クリティカル率を上げて効率よく大ダメージを与える
本作は、クリティカルヒットが出れば、かなり大きいダメージが与えられます。
クリティカル率を上げる「ラッキースター」や「祝福の金貨」を装備した上で、ライゼの「双撃破」やザウアーの「轟迅」など、攻撃回数の多い技を使えば、クリティカルが多く発生します。
特に物語後半では、屋台で買える「ビンビンX」や、ザウアーの「ドーピング」を利用すれば、クリティカル率を容易に上げることができます。
積極的に使っていきましょう。
キャラ使用感
本作は難易度が高くないため、好きなキャラクターを使っていても問題なくクリアできます。
一応、個人的な使用感などを以下にまとめてみました。
・ライゼ
パッシブスキルのデュアルアクトによる2回行動が強力で、さすが主人公という使いやすさです。
「破刃」による攻撃力低下は最後まで役に立ちます。
バフをフルにかけた後の「秘技・刹那無常刃」も非常に強力です。
MPの消費が多い技で、回復アイテムは手放せませんが、ボス戦でとても便利です。
・リーン
回復役ですが、タフでやられにくいため、壁としても有用です。
守護コマンドでの「献身」は、HPが減っている仲間がい居る際には頼もしいです。
後半は攻撃役にもなれますが、基本は回復役+ウェポンブレス役で十分役立つと思います。
・ティサラ
バフ、デバフ系のスキルが豊富なので、通常戦よりもボス戦の方が輝けるタイプだと思います。
奥義の種類は全キャラで一番豊富ですが、自分はあまり使う機会がありませんでした。
・アルバート
単体攻撃魔法の「ブラスト」が、魔法防御を下げつつ、強力なダメージを与えられるので、最後まで役に立ちます。
各属性の魔法も揃っているので、通常戦闘でもボス戦でも役に立つ魔法アタッカーです。
「アストラルオーラ」は、ボス戦でとりあえず2回かけておけば安心できる、使い勝手の良い便利な補助魔法です。
奥義の「神脈回復」は、ボス戦でちょうどMPが少なくなってきたころに使えることが多いので、かなり役立ちました。
・ザウアー
防御力を下げる「突撃崩」と、3連続攻撃の「轟迅」の使い勝手が良い便利な物理アタッカーです。
「ドーピング」は強力ですが、お金に余裕がある後半であれば、アイテムで代用する方が便利かもしれません。
ライゼとザウアーに攻撃役を任せてしまえば、良いダメージ源となります。
ただし多数の敵が相手だと、殲滅力に少し難があります。
・ルヴィス
攻撃魔法、回復魔法、補助魔法と一通りのことができて便利なキャラです。
単体攻撃の手段に少々の穴はありますが、やれることが多いので、とりあえず入れておけば役に立ちます。
暗闇が効く物理攻撃系の敵であれば、「ニグラネブラ」でほぼ無力化できるので、かなり便利です。
感想(ネタバレ有り)
中だるみすることなく、最後まで一気に突っ走ってクリアしました。
それくらい物語が面白かったですし、プレイを後押しするようなゲームシステムでした。
以下、物語を思い出しつつ、その時に感じたことをつらつらと書いていきます。
記憶を失っている主人公に、不老不死の人たちが集まる村という、序盤からワクワクするような舞台設定でした。
「自分が何者なのかを知る」という大目的がゆっくりと物語を牽引しつつ、目先の目的である「神約を結ぶための神殿巡り」で、世界各地を冒険している感が味わえました。
砂漠や雪国など、RPGには欠かせない、バリエーション豊かなマップが美しかったです。
そして、いったん最初のパーティーとは離れ離れになり、レクセス達と行動を共にすることになります。
パーティーメンバーがしばらく落ち着いてしまっていたので、メンバーがガラッと変わる展開により、マンネリ感が払拭され、新鮮でした。
リアンがライゼなのかどうかは、この辺りではわからなかったのですが、何らかの関係はあるのだろうな、と予想していました。
とはいえ、直球で同じ人物だったというのは、逆に予想外でした。
ティサラの役目を中心としたストーリーが終結に近づくにつれ、SF的な設定が段々と見えてきました。
ファンタジー世界とSF設定の組み合わせは、よく見られるからこそ、作者の腕が試されます。
その点、本作は、上手くまとまっていて、とても納得できました。
そして第一部が完結し、物語は本格的に、ライゼの過去へと迫る内容になっていきます。
エルやレクセス達は、別の国の高貴な人くらいに思っていたのですが、まさか遥か昔から生きている不死の存在だとは思っていなかったので驚きました。
それと同時に、色々な伏線が繋がり始め、物語が加速度的に面白くなっていきました。
ザウアーの正体は早い段階で隊長だと分かりました。
しかしライゼと違い、なぜ少しだけ老けているのか等、細かい事情が分からないでいました。
タイムトラベル的な装置でもあるのかという推測もしていたのですが、実際はコールドスリープだったということで、当たらずとも遠からずでした。
ザウアーは、僕の中ではお気に入りのキャラクターの一人です。
海辺へ誘うイベントは、ギャグテイストになるのかと思いきや、涙腺にくる内容になり、とても心に残っています。
エルやレクサスたちと違い、ザウアーは今の時代に知り合いもいないでしょうし、ある意味誰よりも孤独だと思いました。
余談ですが、ルヴィスが本当の意味で仲間になったと感じたのは、ヴェロニカが剣になったときでした。
それまでは、師匠の命令だから同行しているだけで、他のメンバーとは違うスタンスでした。
アルバートにしろ、ティサラにしろ、最初は自分の意思ではない事情や成り行きで加わったメンバーです。
それが、個々の様々なイベントを経て、自分の意思で同行するという流れになっています。
ルヴィスだけは、ずっと義務的に同行していたので、その点が気にはなっていました。
しかしこの最終盤まで来て、ようやくルヴィスが自分の意思でパーティーに加わってくれるイベントが挿入されたので、ホッとしました。
リアンとレクセスら翠玉の騎士達が共闘する滅びの展開は、王道ではなく邪道な展開ではありますが、演出としては熱かったです。
ライゼとレクセスの共闘は以前にもありましたが、リアンとレクセスでは初めてなので、貴重な機会だと思いながら、兄弟タッグでの戦闘を楽しみました。
その後、一度バッドエンドを見たうえで、少し過去に戻ってやり直すという展開は、ノベルゲームでのトゥルーエンドへの手順のような感じで好きでした。
やはり、このまま進むとこういう結末になる、というのを見ておくことで、本当のラストの説得力が増したと感じました。
最後、アストライアを倒した後、破壊神と戦う展開になるかもと思っていましたが、そこまではありませんでした。
仮に破壊神が出てくると、最後に急に出てきた存在がラスボスということになるので、そうではなく良かったです。
そして、始まりの丘へと場面は変わり、プロローグを思わせるようなエピローグが始まります。
エンディングを迎える場所が、ゲームの開始場所だということもあり、色々なことがあったなと感慨深かったです。
リアンもディアナも記憶は無いですが、ゲーム開始時とは違い、何かをやり切った達成感があると思います。
この後、また世界を旅して、かつての仲間たちと再会していくことを願っています。
特にザウアーは、寿命が短そうな発言があったので、早いところ再会し、農園でもやって欲しいなと思います。
非常にたくさんのキャラクターが登場しながら、それぞれ持ち味を生かして、物語を盛り上げてくれたと思います。
ロゼッタの過去は、少しだけ推測されるのみであまり語られませんが、悪役はその程度で良いかなとも思います。
のんきな雰囲気のライゼと、ほんわかした雰囲気のリーンは、後半は見ることができません。
しかしエンディング後のしがらみから解放された二人には、ぜひともライゼとリーンに戻り、新たな旅「第3部」を楽しんでほしいなと願います。
おまけ:ノールレイサの喫茶店にて、カテジナさんと撮影。
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