漫画「ワールドトリガー」(葦原大介)自分が面白いと感じた理由を考察

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前書き

本記事は、未完結の漫画「ワールドトリガー」(2020年1月現在で既刊21巻)について、具体的なネタバレは避けて書いている感想の記事です。
紹介する上で、「こういう展開がある」くらいは言及してしまうと思いますので、まっさらな状態で楽しみたい人はご注意ください。

前から「ワールドトリガー」という漫画の存在は知っていましたが、内容は全く知らず、つい最近最新刊まで一気に読みました。
読んだきっかけは、Twitter上で流れてきた次の記事を読んだことです。
記事の前半は、「ワールドトリガー」がどういう漫画なのかが、とても分かりやすく書いてあります。

物語の中で「敵が仲間になる」という展開は、よくある展開です。
かつての強敵と共闘する展開は単純ながら熱いですし、盛り上げるのに効果的なのは間違いありません。
大抵は、より強力な敵が現れて、手を結んで共闘せざるを得ないような理由が多いように感じます。
そして共闘しているうちに段々と仲良くなり、本当の仲間となるのが鉄板の展開でしょう。
そういった「よくある理由」とは違う理由なのかなと気になり、この記事を読んでみました。

結論からすると、理由はそこまで奇をてらったものではありません。
しかし、安易に仲間になるのではなく、色々な経緯があった結果、一時的に手を組むのだということがわかりました。
そして仲間になるところまで辿り着くのに、緻密な理由の積み重ねが描写され、安易に仲間になるということはしないようです。

この記事は、この説明をする前置きとして、「ワールドトリガー」がどういう漫画なのかということをとても分かりやすく説明してくれています。
ワールドトリガーを読んでみようかなと思った理由は、むしろこの前半部分の説明を読んだということが大きいです。
そして年末年始というまとまった時間があったというタイミングもあり、さらには電子書籍で1~9巻までが無料だったということも、大きかったです。

どの部分が面白いと感じたのか

主人公が凡人であること

まず、楽しいと感じたのは主人公の三雲修が、「凡人」であることです。
回りの登場人物には、トップクラスの戦闘力を持つメンバーや、粗削りながら凄まじい才能を持つメンバーなどが大勢います。
しかし、修は身体能力なども秀でたものはなく、作戦や工夫で乗り切っていくタイプです。
それも、天才的でアクロバティックなアイデアという訳ではなく、自分が特別でないことを理解した上で何ができるのかという点を考え抜いた工夫というのが好感が持てます。
我々のような凡人であっても、一矢報いることができるんだという点で、共感しやすいのかもしれません。

ひとつ共感できない点があるとしたら、彼の正義感です。
修の正義感は、僕の感覚からすると度を過ぎたものであり、そこには違和感を感じます。
しかし彼自身、生まれながらその正義感を持っているわけではなく、過去に何かがあり、そのようにあろうとしているのは何となく感じます。
「Fate」の主人公である衛宮士郎のように、正義の味方であろうとする呪いで縛っているとまではいいませんが、何となく危ういものを感じます。
ただ、迷いなくきっぱりと「ぼくがそうするべきだと思ってるからだ!」と言い放つシーンは、格好いいことは間違いありません。

ゲーム的なバトルシステム

ワールドトリガーでは、味方の組織内でランキングを争う個人戦やチーム戦のシステムがあります。
これはまさにネットゲームのプレイヤー対戦のようで、とても今の時代にマッチしているなと感じました。
Cランク⇒Bランク⇒Aランクと、ポイントを重ねると上のランクになっていくというのも、わかりやすくて燃えます。

他のゲーム的な要素としては、戦いでやられてしまっても「緊急脱出(ベイルアウト)」により、一応、生身で安全地帯に飛ばされます。
しばらく戦闘は不可能な状態ですが、ゲームで言うなら、ゲームオーバーになってスタート地点に戻されるような感覚です。
これだと戦いに緊張感がないと思うかもしれませんが、主人公隊は負けられない理由があるため、生死とは別のところで緊張感が保たれています。
首を刎ねられたらさすがに緊急脱出になりますが、手足が多少切られたくらいでは、即脱落になりません。
緊張感を「死」という手段に頼らないのは、個人的にはいいなと思います。

使用される装備品も、一部特別な仕様のワンオフ武装もありますが、基本はみんな量産品を使っています。
そのため、量産品の組み合わせや使い方の工夫で、プレイヤーごとに幾通りも戦術を持っているのは、面白いなと思います。
巻を追うごとに、新しい使い方をされていくので、作者もアイデアを出すのが大変だろうなと感じます。

敵からの防衛戦で進むストーリー

主人公たちは、とある目的から組織内での「ランク戦」に注力しており、作品内でもランク戦にかなりのページが割かれています。
負けられない理由があるため、仲間同士での戦いとはいえ、それなりに緊張感があります。
しかし定期的に、外からの侵略者による本当の侵攻があります。
この戦いでも、戦闘員(ボーダー)の緊急脱出はあるものの、敗北が組織の崩壊や人命にかかわることが多いため、ランク戦とは違った緊張感があります。
ちょうど「アーマードコア」というゲームでのアリーナ戦がランク戦で、ミッションが敵の侵攻のようなものです。
ランク戦では強敵として戦ったライバルたちが、敵の侵攻からの防衛線では、とても頼れる味方に早変わりして、凄く頼もしく感じます。

ランク戦は本作の面白さの一つで、主人公たちの成長も多いですが、物語が大きく動くわけではありません。
敵からの侵攻により、色々な情報が得られ、謎が段々と明らかになっていく過程が非常に面白いです。
まだまだ解明されていない謎は多いため、今後ますます目が離せない作品だと思います。

終わりに

物語の進行はややゆっくり目めな印象があるので、完結は相当先のことになると思います。
しかし、地に足のついた描写と丁寧な伏線の展開で、人気が出るのも頷ける作品でした。
キャラクターの数がとても多く、また、絵柄のせいか見分けがつきにくいキャラクターもいます。
それでも一人一人が個性を持っており、活躍する場面の描写も多いです。
今回、この記事を読んで少しでも気になった人は、一度読んでも損はないと思います。

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