SRPGにおける「ボスチク」する派・しない派の理由を整理する

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はじめに

先日、X(旧Twitter)上で、シミュレーションRPGにおけるボスチクの話題で賑わっていました。

ボスチクとは、拠点から動かない敵ユニット(主にボス)を、チクチク削って経験値稼ぎをする稼ぎ行為です。
拠点待機により、毎ターンボスのHPが少量回復するのを逆手に取り、膨大なターン数と引き換えに半永久的にレベル上げを行うことができます。
要は、RPGにおける経験値稼ぎ行為に近いものだと思っています。

色々な意見を目にしたのですが、ボスチクについての賛否は、各人のプレイスタイルやポリシーと強く結びついているように見受けられ、各々信念があるように感じました。

ボスチクする派・しない派の考え方について、自分になりにまとめてみようと思います。
こういう考え方もあるのかな、という覚書のような内容です。
当然ですが、ボスチクを行う・行わないは各プレイヤーの自由であるということは言うまでもありません。

ボスチクする派の意見

SNS上で見かけた意見や、自分なりにこうかなと思った意見を書いていきます。
まずは肯定的な意見からです。

攻略を楽にしたい

ボスチクを行うオーソドックスな理由としては、攻略を楽にしたいというものが考えられます。
出撃させているユニットのレベルをガンガン上げることで、その後のマップ攻略が当然楽になります。
ボスチクは時間がかかる行為ですが、ボスチクそのものは難易度が高いことではなく、むしろ誰でも実行可能なものです。
したがって、ボスチクで稼ぐことにより、ゲーム難易度を自力で易化できるということになります。

詰むことへの予防・保険

前項と似た理由ですが、もう少し明確な目的がある立場です。
SRPGは自由に経験値稼ぎをできない場合が多いため、難所にぶつかってしまうと詰んでしまう可能性があります(トレーニングなどで無限に稼ぎが可能な作品もあります)。
そういった事態にならないように、あらかじめ稼げるときに稼いでおくというのは合理的ですし、安心してプレイするための保険として理解できる行為だと思います。

もっとも最近のフリゲSRPGでは、詰まないようにかなりケアされている作品が多いので、実際に詰む可能性は低くなってきている気がします(当社比)。

お気に入りユニットの育成

ボスチクにより、お気に入りのユニットを育成して強くしたいという理由もあるでしょう。
弱いけれどお気に入りだというユニットがいる場合、実戦で育てるのは難しい場合があります。
また、ボスチクは吟味(レベルアップ時に多くのパラメータが上昇するように、セーブ&ロードを何度も繰り返すこと)しやすい状況であるため、そういう意味でも弱いユニットを育てるには最適の稼ぎ方と言えるでしょう。

禁止されていないなら利用する

ボスチク自体、特に禁止されていないので、使えるものは使うという考え方です。
ボスチクが可能であるなら、それを使って楽をすることに問題はないはずです。
また、こういった抜け穴的な稼ぎテクニックを使うこと自体に背徳的な快感があるというのは、ゲーマー心理として共感できます。

おまけ要素達成のための強化

SRPGでは、撃破しなくてもいい強ボスや、上手くプレイしないと達成できないおまけ的な要素のあるステージが存在します。
このようなおまけ要素を達成するには、通常の育成によるユニットでは達成が困難な場合が多いです。
そのため、ボスチクによって強いユニットを創り出し、こういったチャレンジ要素を達成したいというのが、ボスチクを行う理由ということになります。

ボスチクしない派の意見

次に、ボスチクをしない側の意見について、考えられる理由を書いていこうと思います。

時間が勿体ない、面倒

ボスチクは、ボスにダメージを与えることで、少量の経験値を何度も獲得していく行為です。
ダメージを与えすぎて倒してはいけませんから、ユニットが育ってくると、倒さないように攻撃を抑え、かつボスが回復するのも待ってあげなければいけません。
そうすると、当然プレイ時間はどんどん伸びていくことになり、かなり時間がかかってしまいます。
キャラを強化することでその後のプレイ時間は短くなるかもしれませんが、ボスチクをしなくても大して時間はかからないかもしれません。

ボスチクで行う操作自体は作業的なものなので、そういった行為が面倒だという意見もあることでしょう。

本来のゲームバランスを損なう

ボスチクは、裏技・抜け道的な攻略テクニックと言えるため、ボスチクを前提にゲームバランスを調整している作品はあまりないはずです。
であれば、ボスチクでユニットを十分に強化してしまうと、製作者が想定しているゲームバランスで作品を味わえなくなる恐れがあるということです。

もともと想定されているゲームバランスがプレイヤーに合っているかどうかという問題はあるでしょうが、想定されている難易度より簡単になる可能性は高いでしょう。

クリアターン数が記録されるのが嫌

作品によっては、クリアにかかったターン数が記録されたり、時間がかかり過ぎると評価が下がってしまうものもあります。
そういった作品でボスチクを行うと、ボスチクを行なったであろうという記録が鮮明に残ってしまいます。
ターン数を短くクリアし、スマートに攻略することを心掛けているプレイヤーにとっては、長いターン数が記録されてしまうことを嫌い、ボスチクを避けている人もいるかと思います。

何となくズルい気がする

ボスチクが正攻法ではないと考えている人にとっては、そういった手法を使うのを嫌うということが考えられます。
ボスチクでユニットを十分に強化してしまうと、ゴリ押しでクリアできるようになってしまい、ワンパターンで攻略できてしまう場合があります。
色々な戦術を練り、弱いユニットでも上手く攻略していくことに楽しさを感じるプレイヤーもいることは間違いありません。
そういう人にとっては、ボスチクが何となくズルをしているように感じてしまうのかもしれません。

色々な工夫をしてようやく難しいステージを突破したプレイヤーが、ボスチクで稼ぎまくったプレイヤーに「あのステージは余裕だったけど?」みたいに言われると、イラっとくる場合があるのかもしれません。
どのクリアの仕方が偉いというわけではありませんが、プレイヤーのこだわりや美意識によって、クリアの仕方に優劣・美醜を付けるということはあり得るでしょう。
特にSRPGでボスチクを認知しているプレイヤーは、プレイスタイルに信念やこだわりを持つベテランの割合が多そうな気がします。

私の立場→基本的にはボスチクしない

じゃあお前はどの立場なんだよという声が聞こえるので表明するのですが、僕自身はボスチクはしないことが多いです。

理由はいくつかあります。
一番の理由は、単純に時間がかかるという点です。
クリアにかかる時間×苦労を最小化したい気持ちでプレイしているので、ボスチクを行うことが第一選択とはなりません。
ただ、ボスチクを行うことがその後のプレイを大きく快適にすることが明らかにされているのであれば、必要な範囲内で行うことはあると思います。

二番目の理由としては、作者が想定しているゲームバランスで楽しみたいという気持ちがあるからです。
特殊な難易度の作品でなければ、製作者の方々はボスチクを行なわないプレイでバランス調整していると思われるので、それがボスチクを行なわない理由です。

ただし2周目以降のプレイで、お気に入りユニットを最強にしたいとか、達成したいチャレンジ要素がある場合は、ボスチクを行うことはありました。
ただし、ゲームの難易度そのものを下げることで目的が達成できそうなのであれば、ボスチクは避けると思います。
やはりボスチクは時間と手間がかかるので、行わなくて済むのなら行わない選択になります。

ハードモードなどの高難易度にチャレンジするときも、基本的にはボスチクを使うことはありません。
高難易度モードは、ノーマルと違う戦い方を考えるのが醍醐味だと思っています。
しかし、高難易度を選んでおきながら、特に戦い方を変えずにボスチクで切り抜けていくのであれば、わざわざ高難易度をプレイする必要を感じないからです。
やや強い言葉になってしまったかもしれませんが、これは個々のプレイスタイルによる部分だと思いますので、押し付けるつもりはありません。

ボスチクを行う人にとっては、行う側の言い分や理由があることでしょう。
意見の衝突は避けようがないので、押し付けや誹謗中傷でなければ、言い合うのは構わないと思います。
批判し始めると宗教戦争になりかねないですし、改宗を迫るような圧力は避けるべきですが、それぞれの立場でどういう考え方があるのか聞いてみたい欲求はあります。
もしご意見・主張がある場合は、コメント欄に投稿していただければ幸いです。

終わりに

ボスチクについての考え方を、想像で補いながら色々書いてみました。
フリーSRPGをプレイする層は、こだわりを持ってプレイする人が多いような気がします。
とすれば、今やボスチクが可能かどうかという点すら、作品の基本情報に含めなければいけない時代が来ているのかもしれません。

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
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コメント

  1. 名無しさん より:

    ボスチクしない派はボスチクを経験してきて同じ展開に飽きた過去がある人がほとんどな気がしますw

    • losspass より:

      ボスチクを知っていてやらない人は、確かに、過去に一度経験した上でやらない派になっているというのはあるかもしれませんね。
      結局、どんな作品でもレベルを上げて強くすることで攻略しやすくするという展開になるので、その感触に飽きた結果、ボスチクしない派になったというのはありそうです。
      私自身、時間と手間の理由を除けば、そういう過去があるのは確かです。

  2. 匿名 より:

    基本的にボスチクしない縛りでやってます。
    ノルマはともかくその場で可能な限りの最短ターン数でクリアする方針なので。
    IMPERIALIZERではそのせいか名声達成したりしなかったりしましたね。

    ただし、努力で乗り越えるのは困難、あるいは数章前からやり直さないと戦力追い付かないような戦略的失敗の場合は、怒りに任せて500~1000ターン掛かりの徹底的なボスチクやらHPMP回復やらしてます。
    (ハードRoads to the Crownしかり、終盤のランタイム・サーガやら新説魔法少女しかり)

    もはや社会人になって数章前からやり直してプレイする時間なんて無くなりました・・・。学生時代のGBA3部作では散々とチクやってたのになあ。

    • losspass より:

      ご意見どうもありがとうございます。
      私もクリアが目的で、名声達成は一種のやり込み要素と捉えているので、その辺りは同じですね。

      数章前からやり直さないといけないような場合だと、確かにボスチクで帳尻を合わせてしまうというのはわかります。
      わざわざやり直すのはしんどいですよね・・・
      昔よりも今は面白いゲームがたくさんあるので、1つのゲームをやり込むことが少なくなってきました。
      もちろん社会人で時間がないのももちろんそうなのですが。
      とても共感できるコメント、ありがとうございます。

  3. 匿名 より:

    >しかし、高難易度を選んでおきながら、特に戦い方を変えずにボスチクで切り抜けていくのであれば、わざわざ高難易度をプレイする必要を感じないからです。

    これは難易度がちゃんと配慮されてるゲームである前提の話しであり、
    そういうゲームの場合はハードモードでも基本は一切チクしませんね。

    ただ、そうでない場合のゲームではこちらは容赦なく対策(チク)するだけですが。

    • losspass より:

      ハードはハードなりの攻略法が用意されている作品ならいいのですが、中にはそうではない作品もありますよね。
      (我々プレイヤー側がボスチク以外の攻略法を見つけられていないだけの可能性もありますが)

      私はプレイしていてストレスの方が勝ってしまうようになった段階で、やらなくなってしまうことが多いです。
      ただ難しいけれどもストーリーが非常に気になる場合は、ボスチクしてでも何とか進めたいと思ってしまうのでやってしまうこともあります。