ファタモルガーナの館(ビジュアルノベル)紹介・感想

ゲーム
この記事は約5分で読めます。

NOVECT(旧・Novectacle)によるインディー作品『ファタモルガーナの館』(Steam版)の紹介記事です。
もともとPC用同人ビジュアルノベル作品として製作されたものが人気を博し、iPhone・3DS・PS4・Switchなどに移植されていきました。
物語の時代に合った絵画風の美麗なビジュアルや、非常に作り込まれたBGMと共に綴られる長編作品です。
公式には「西洋浪漫サスペンスホラー」と銘打たれており、二転三転する物語が楽しめます。

本編クリア時間は約15時間でした。

ゲームの購入はこちら(2025年1月時点で本体\2,000)

Steam

公式ページはこちら

ノベクタクル

ゲーム概要(構成についてのほんのりしたネタバレがあるかも)

本作は文章を読んでいくことで進めていくビジュアルノベルゲームです。
途中で選択肢を選ぶことにより、一時的に内容がかかわる場面はありますが、基本的には一本道です。
不正解を選ぶと大抵すぐバッドエンドとなるため、細かなフラグ管理はありません。

物語は以下のような導入で始まります。

「あなた」は気づけば、古ぼけた屋敷にいた。
目の前には、「あなた」を旦那さまと慕う、翡翠の目をした女中がいる。
しかし「あなた」には記憶がなく、自分が何者なのかわからない。
生きているのかさえも。
そんな「あなた」に、女中は屋敷で起きた数々の悲劇を見せるという。
そこに、「あなた」の痕跡があるかもしれない……。(公式HPの「物語」より引用)
このような導入から始まり、「あなた」は異なる時代の4つの物語を見ることになります。
女中がほのめかす通り、いずれも明るく楽しい物語ではなく、悲劇的な内容です。
本作が独特なのは、読み進めていくごとに、違った面白さを与えてくれるということです。
最初は4つの悲劇的な話をオムニバス形式で読むことになり、独立した物語として楽しむことになります(「楽しい」と形容するには抵抗のある内容ですが…)。
血が流れる描写をはじめとして、ショッキングなビジュアルもあるので、そういった表現が苦手な人は厳しいかもしれません。
4つの話を聞き終えるころには、どうしてこれらの話を聞くことになったか、プレイヤーはすでに忘れてしまっているかもしれません。
4つの話を聞き終えた後は、「あなた」の謎について焦点が当たります。
自分は誰なのか、女中は何者なのか、この館は何なのか、今までの物語の繋がりについてもフォーカスされ、サスペンス的な面白さが展開します。
これが本作の面白さの二段階目と言えるでしょう。
これ以上はネタバレが過ぎるため明言できないのですが、謎が解けるカタルシスを伴う展開や、悲劇、ミステリー的要素など、繰り返されるどんでん返しがダイナミックに織り込まれ、さらなる真相を追求していくことになります。
各シナリオの節目で、認識の逆転によるどんでん返しで衝撃を与えられ、その後違ったテイストの面白さが展開されます。
この仕掛けのお陰で、長編作品ながら飽きさせないようにシナリオのが工夫されていると思います。

感想(ネタバレ無し)

Steam版でプレイし、本編クリア後の舞台裏まで読み終えました。
ネタバレすると本編の面白さが損なわれる可能性があるため、ネタバレなしでの感想です。

ずっと前に友人から勧められたものの、長年プレイせず、10数年の年月を経てプレイすることと相成りました。
まったくプレイしなかったわけではなく、第1の物語の導入部分で離脱してしまったことが要因です。
序盤の展開がややゆっくりという点と、作品の雰囲気の重たさ等、なかなか事件が起きないことでモチベーションが低下してしまったというのは事実です。
第1の物語を読み終えてしまえば、そのインパクトによって、怖いもの見たさ的な興味で読み進めてしまうのではないかと思います。


鬼気迫る表情で叫ぶ白髪の男性。
これはシリアスなシーンなのかそうでないのか、君の目で確かめてみてくれ!

 

序盤は面白おかしい要素は少なく、重々しく悲劇的な内容が多いと思いました。
しかし中盤以降は、とあるコンビ(?)のやり取りが漫才のようで、思わず笑ってしまう場面が多かったです。
最後には探偵と助手のような関係になり、ミステリー作品のような面白さになりました。

言葉遣いは、作中の時代にそぐわない箇所もあるかと思いますが、だからこそギャップで面白味を感じ、思わず笑ってしまう場面が多かったです。
物語と絵面がシリアスであればあるほど、その落差が面白かったです。

感情に訴えかけてくるシナリオだと思うので、登場人物たちに興味を持って感情移入できるかどうかという点が、本作を楽しめるかどうかの分岐点になると思います。
感情移入というのは必ずしもそのキャラを気に入るという意味ではなく、好きだとか嫌いだとか、何らかの感情を抱くという意味です。
登場人物の気持ちに興味を持てないというのであれば、この作品に限らず、楽しむことは難しいかもしれません。

とはいえ、読み進めていけば自然と引きこまれる作りになっているので、よほど人の心に興味を持っていない人以外は心配しなくても良いと思います。
僕は最初、好きになれないキャラもそこそこいました。
しかし本編を読み終えるころには付き合いが長くなるので、嫌いではあっても、奇妙な愛着を感じるくらいになっていました。

長編で読むのは大変ですが、グラフィックやBGM等の質は非常に高く、シナリオもそれに見合ったクオリティでした。
読むのがしんどいシナリオもありますが(というか大半)、後半のカタルシスまで我慢できれば、大きな感動を与えてくれる作品だと思います。

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
本ブログで紹介しているゲーム系の記事まとめ
ゲーム

コメント