医療機器商社(ディーラー)の仕事 整形外科編

仕事
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以前、別の記事では医療機器商社(ディーラー)について、仕事内容を中心に説明しました。
今回は、納品業務の中でも特徴的な、整形外科分野の仕事内容について書いてみようと思います。
業界への就職を考えられている方や、ディーラー新入社員向けの内容です。

 

 

 

整形外科での商売

整形外科での商売で、金額的にメインとなるのは手術インプラントの貸出です。
靱帯・軟骨などを扱うスポーツ整形、骨折した部位に当てるプレートやスクリューを扱う外傷(トラウマ)、関節の疼痛を改善するための人工関節系、それに腰痛などの改善を目的とする脊椎関係(スパイン)などがあります。
1症例の単価としては、大雑把に言うと以下の通りです。


スポーツ整形 < 外傷 << 関節 < 脊椎


ご覧のように脊椎で扱うインプラントはかなり高額で、次に関節系が高額です。
脊椎は、脳と繋がっている神経の近くを操作するので、そのハイリスクさに見合った診療報酬となっています。
そのため、純粋に病院の収益だけで言うなら、脊椎や関節系のドクターはたくさん稼いでいることになります。
従って、院内での発言力も強いことが多いように感じます。

とはいえ、ディーラーは仕事を選り好みできるわけではありません。
その受け渡し方法の特殊性もあり、一つの病院で、整形外科に出入りしているディーラーは一社に統一されていることが多いです。

そのためドクターから依頼が来れば、儲かる・儲からない関係なく、すべてミスなく準備するのが基本です。
儲かる手術は依頼を受けて、儲からないものは受けませんということは、基本的にはできないということになります。

 

 

ドクターからの依頼

さて、基本的にはドクターからまず依頼の連絡があるはずです。
例えば「4月1日に人工骨頭の手術を行うので、一式手配をお願いしたい」といった具合です。
整形外科をやる人間が、嫌と言うほど思い知らされるのが滅菌についてです。

普通、術中の清潔野で使用する器械は、すべて滅菌をしなければいけません。

一般的には高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)が主流で、急ぎの場合や熱に弱い器具は、低温プラズマ滅菌をします。
整形外科でインプラントを留置する際に借りるレンタル器械は、ほぼすべてオートクレーブで滅菌することになります。
従って、器械を病院に受け渡したとしても、すぐに使えるわけではありません。

どんな場合でも、滅菌にかかる時間のことを考えて手配をしなければいけないということです。


予定手術であれば、2日前までにドクターから依頼が来れば問題ないでしょう。


2日前に手配すれば、その次の日である手術前日に物が届き、余裕を持って病院に持って行くことができます。

ただし依頼そのものが手術前日の場合は、注意が必要です。
その手術が、朝から始まる手術だと当日に持ち込んでも滅菌が間に合いません。
オートクレーブは大体3時間ほどかかりますので、朝9時に持ち込んでも、使えるのは12時ごろです。

ということは、手術前日に依頼があった場合、その手術が当日の朝からなら、依頼を受けた日の内に器械を届けなければなりません。

病院によっては、その日の最終滅菌の時間も決まっていることでしょう。
こうなると、急ぎで物を取りに走ったり、チャーター便で当日中に物を取り寄せる必要が出てきます。

また、インプラントによっては左右の区別があります。

どちらの手・足をなのか、左右はきちんと聞いておいた方が、後から慌てずに済みます。
何にせよ、整形外科の手術の準備は、ドクターの依頼から始まります。
予定手術であるのなら、必ず2日前までに連絡をくださいと、強くお願いしておく必要があると思います。

 

 

商品の受け渡しについて

届いた商品の受け渡し方法については様々です。
通常の病院であれば、病院スタッフと一緒に器械が何点入っているかなどをチェックし、必要ならば写真を撮ったりもします。

細かいものが多いと、使用後に無くなったり増えたり(病院の持ち物が混ざり)することがあり、トラブルの種になります。

あとからチェックできるような方法を残しておくと良いと思います。
また、インプラントや器械など、最初から滅菌包装されているものもあります。
こういった形態であれば滅菌はいらないのですが、往々にして体積が大きくなるため、運ぶのは大変です。
病院によっては、数日前に持ってきてもらうようなところもありますし、前日しか受け取らないよというところもあります。
大きい病院だと手術件数が多く保管スペースが無いため、前日しか受け取ってくれないことが多いように感じます。

 

 

手術当日

さて、前日までにすべて受け渡しが終わっている場合は、実は特にやることはありません。
怖いのは、手術中に病院から連絡があったときなどです。
このときに、もし足りないものがあったとしても、取り返しのつかないことがほとんどです。

そのため、自分の準備が足りていたかどうかが試される、審判の日になると言えます。

 

 

器械引き上げと使用チェック

さて、手術の次の日は、入れ込んだ器械やインプラントの回収をすることになります。
病院は、手術が終わった後、器械を洗浄・滅菌などをしたあとに返してくれます。

このとき非常に大事なのが、商品が紛失していないかのチェックです。

入れ込んだ器械は、手術の種類によりますが、数が多く複雑で細かいものも存在します。
点数チェックはもちろん、本当に入れ込んだときと同じものが返ってきているかどうか、しっかりチェックする必要があります。

もし気付かずに引き上げて返却した場合、後からメーカーに「物が足りないので紛失分の請求をします」と言われる場合があり、そうなると非常に揉めます。

特に病院は、ディーラーが引き上げた時点で、責任を取ってくれないことが殆どです。
引き上げた後、ディーラーが無くしたかもしれないので、その言い分は当然でしょうが・・・
面倒がらずに、きちんとチェックを行う必要があります。
また、インプラントの使用チェックも大事なことです。
最初から滅菌されている箱の包装になっているものは、使用・未使用が判別しやすいです。
しかし、細かく似たような種類が多いインプラントで、包装がされていないものは、何を使って何を使っていないのか分かりにくいです。
そのため、引き上げる際に丹念にチェックするのが大事です。
慣れてくると、どの手術で何をどれくらい使うかが分かってきますが、慣れていない内は難しいと思います。
こればっかりは地道に、一つ一つどんな手術でどんなものを使うのか、勉強していくしかないでしょう。

 

 

まとめ

ディーラーが行う、整形外科分野での仕事は、手術で使うインプラントの手配・持込がメインとなります。
その際には、手術する部位の左右、滅菌物の受け渡し忘れがないかどうか、そして使用分のチェックなどが重要になってきます。
慣れるまでは大変ですが、慣れてしまえば、実はほぼパターン化していくことに気付いていけるので、楽になっていくと思います。

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