弁護士の退職代行を実際に利用した私のリアルな体験談

先日、自分の職場を退職する際に、退職代行サービスを利用しました。
最近話題になっているサービスで、会社に対して自分の代わりに退職の意思を告げてくれるものです。
今回は、弁護士が行う退職代行サービスを実際に利用した自分の体験を記事にしてみようと思います。

退職代行を利用した理由

退職代行を利用する理由というのは、色々な場合があると思います。
パワハラが横行しているような職場であったりすれば、退職を願い出るだけで心理的ストレスは相当なものでしょう。

僕の場合は、面倒なことを避けたかったというのが、一番大きな理由かもしれません。
長年勤めた会社に対して、自分で何も言わずに去っていくというのは、決して良いやり方ではないとわかっています。
しかし、もう退職すると決めた会社に対して、これ以上余計な時間を掛けたくなかったというのが本音です。
辞めると言えば引き留めに合うでしょうし、ダラダラと退職を引き延ばしされることも予想できます。
そうなってしまっては、転職先の会社に申し訳ないですし、何より自分自身のストレスが溜まってしまいます。

第三者を介して手続きを行うことで、お互いに感情を排して、事務的に進められるのではないかと感じます。
また、有給を目いっぱい消化したいという希望も、自分では言いづらい場合があります。
もし退職代行というサービスがなければ、僕はそもそも転職という選択をしなかったかもしれません。
そういう意味では、このサービスは労働力の流動化を推進し、企業を淘汰していく仕組みになり得ると考えています。

弁護士が行う退職代行を選んだ理由

mohamed_hassan / Pixabay

弁護士が行う退職代行は、それ以外の代行業者に対して少し割高です。
しかしそれでも、弁護士自身が自分の代理人として交渉してくれるというのは、心強く感じます。
弁護士ではない代行業者の場合、本人に代わって交渉を行うことは、非弁行為になってしまい、弁護士法違反になる恐れがあります。
会社側も、相手が弁護士でない場合は、「本人以外とは交渉しない」と言って、突っぱねることが可能です。
最近は退職代行業も広く知られるようになってきているので、非弁行為を行う業者だと、最初から相手をしない企業もあるそうです。
そういった対応をさせないためにも、弁護士の退職代行を利用することは価値があると思います。

また「弁護士」というワードが持つ効果も、会社に対しては大きいのではないかと思います。
大きな会社であればあるほど、法律の専門家と社員の退職のことで、無駄に争うということはしないでしょう。

この辺りは結局、利用者が「安心」という価値に、いくらお金を払うかという選択だと思います。
高いと思うなら他にも代行業者はありますし、安さ重視のサービスを選ぶのも一つの選択です。
ただ個人的には、人生の節目となりかねない重要な行為なので、少し高くても安心を買うことをお勧めします。

依頼の流れ

僕が依頼したのは、下記の「汐留パートナーズ法律事務所」の退職代行サービスです。

以前、退職代行について書いた記事で「僕も退職するときには利用してみたいな、と強く感じました。」と書きましたが、まさか本当に利用するときが来るとは思っていませんでした。
いくらブログのネタになるといっても、さすがに記事のために退職するわけではありません。

退職代行の依頼については、まずは相談という形で、LINEでもメールでもやり取りできます。
LINEの方がやりやすそうだったのですが、僕はメールでのやり取りをしました。
ウェブ上のフォームに記入すると、しばらくして事務所からメールがありました。
これからの流れと、いくつかの情報について記入してほしいという内容でした。

流れとしては、

1・依頼者や会社情報などの送信

2・弁護士との電話面談

3・契約書類+振込対応

4・退職代行着手

という流れです。

会社情報などの送信

最初のメールに、代行業者が教えて欲しい項目がたくさん載っていましたので、それについて記入していきます。
調べないとわからないこともありますが、わからない点についてはとりあえず空欄でも大丈夫のようです。
項目としては、依頼する自分の情報、会社名や雇用形態、勤続年数や退職希望日、有給の有無や日数、人事責任者や上司の名前などです。

弁護士との電話面談

最初のメールの際に、電話面談の希望日時を記入する箇所があります。
希望日時をいくつか書くのですが、記入するとその後、いつ電話がかかってくるか教えてもらえます。
その日時になると弁護士本人から電話があり、退職代行の流れなどについて説明してもらえます。
さすが手慣れているだけあり、こちらが気になることは網羅して教えてくれます。
最後に何か気になることはありますかと言ってくれるので、質問もしやすいです。

契約書類+振込対応

電話面談が終わると、契約書類や振り込みについての案内があります。
委任状、委任契約書2通、顔写真付きの身分証明書のコピー、振込明細書の4種類が必要になってきます。

大変そうに思うかもしれませんが、実はそれほど大変ではありません。
委任状と委任契約書については、セブンイレブンなどに設置されているネットプリントで、業者から送られてきた印刷予約番号を入力すると簡単に印刷できます。

書類の本文は出来上がっているので、今の職場名や、依頼人である自分の名前や住所を書き込んで捺印します。
契約書については割印を押したりするので、慣れていない人は少し戸惑うかもしれません。
しかしそれほど難しいことではないので、とりあえずシャチハタではないハンコくらいは準備しておきましょう。

これらすべてに必要事項を記入したら、書類の画像を撮影し、代行業者に送信します。
これはひょっとしたら、退職代行着手まで日にちに余裕がない場合でも素早く実行できるようにするためなのかもしれません。
会社は弁護士から退職代行の依頼が来た場合でも、本人からの委任状はあるのか、委任契約書はあるのか、と反論することで時間稼ぎをすることができます。
そのため、正式に依頼を受けたことを表す書類を早めに準備しておくのは、正式に依頼を受けた弁護士としては当然なのでしょう。
各種書類については画像データだけなく、原本も郵送で送ります。

退職代行着手までに準備しておくべきこと

退職代行を実行してもらう前に、僕が事前に色々と準備したことについて紹介します。
時間的に余裕がある人は、気に留めて欲しいところです。

・退職日についての注意
有給を目いっぱい消化した近辺にボーナスがもらえる日があるのなら、支払日まで有給が使えるよう逆算した日に実行してもらいましょう。
賞与支払日まで有給を使えれば賞与は受け取れます。
ただし、支払日が休業日の場合は、支払いが繰り上げになるのかどうかなど、就業規則で事前に確認しておくことをお勧めします。
あと1日有給があればボーナスがもらえる場合であっても、そこまで有給が足りていないのなら、会社は当然、賞与支払い前を退職日にさせようとするでしょう。
しかし有給が残っており、それを使用するのであれば会社は拒めません。
自分で交渉するわけではありませんし、もらえるものはしっかりもらえるよう計画的に行いましょう。

・退職関係の書類作成
退職自体が認められても、勤務先から手続きとして、会社規定の退職願を作成して送付するように言われることがあります。
記入に手間がかからない内容ならいいのですが、書き込む内容が多い場合などは事前に作成しておくと楽です。
ただし、その様式が自由に入手できる職場でなければ難しいかもしれません。

・私物の整理
僕の場合は、転職活動中をしている段階から、私物は少しずつ持ち帰っていました。
最終日に残しておくものは、処分されても良いものだけにしておきましょう。

会社に返さなければいけないものについては、最終日に帰る際、置いておくといいと思います。
ただし悪質な会社の場合は、置いておいても「返却されていない」と嘘をつかれる場合もあります。
その場合は、後日郵送で送る方がより確実な場合があるかもしれません。

引き出しの中の不要品も、本当はそのままにしておいても良かったのかもしれませんが、片付ける人に申し訳なかったので、ほぼほぼ処分しました。
最終日近辺は、ロッカーや引き出しの中がほぼ空っぽなので、誰かに中を見られると危なかったかもしれません。
感づかれたところで、どうにも止められるものでもないのでいいのですが。

・引継ぎ
これは一番心残りでした。
しかし、会社の仕事などというものは、特定の誰かにしかできないものではなく、誰でもできるものです。
ただし、現在進行形の案件についてや直近の予定などは、顧客への迷惑が小さくなるように、書類を印刷して残しておきました。

また退職代行を依頼してからは、なるべく実行日以降に予定は入れないようにして、新しい仕事も受けないように避けていました。
これは、ほとんど僕の自己満足のようなものです。

退職代行着手当日

さて、最後の勤務日が終わった直後は解放感でいっぱいだったのですが、実行日の朝はさすがに緊張しました。
弁護士からのアドバイスで、実行当日はあらかじめ休みを取っておいた方が良いと言われたので、一応、会社的には休みということになっています。
もし休みにしておかないと、朝、出勤しないことで騒ぎになってしまうからだそうです。
そうなると始業前に代行を実行しなければいけなくなり、バタバタしてしまうとのことでした。

当日は、事前の打ち合わせ通りに実行してくれることになっているので、実行前に弁護士から連絡が来るということは、特にありませんでした。
もう実行してるのかな、どうなのかなとやきもきしていたら、会社の上司からプライベート携帯に着信がありました。
もちろん、これには出る必要はないので無視しました。
しかし少し不安な気持ちになってきたので、会社の上司から着信があったが出なかったという旨と、もう実行していますか、という質問メールを送りました。
ほどなくして弁護士本人から、進捗状況の電話連絡がありました。

会社に退職の意思を告げてくれたということ、その後FAXにて退職の意思、有給消化、退職日の希望、賞与の請求もしてくれたとのことでした。
代理人はもう代行業者になっているので、本人には電話しないように伝えてくれたようですが、人事から会社の上司に連絡が行く過程で、きちんと伝わらなかったのかもしれませんとのことでした。
業者側に何か落ち度があったわけではありませんが、その点についてはこちらに謝罪をしてくれました。
さらに再度、本人には連絡しないように伝えてくれたので、とても誠実な対応だと感じました。

もし僕が自分で退職を告げていたとしたら、「退職したい、有給は全部消化させろ、ボーナス支払い日があるからボーナスもきっちり支払ってくれ」とは言えなかったと思います。
有給を気兼ねなくすべて消化できるという点だけで考えても、退職代行業者にお願いすることで、元は確実に取れると感じました。

退職代行を利用したリアルな感想

僕の場合は、退職代行を使うと決めてから、2週間ほど勤務していました。
この勤務している間、退職代行のことを誰にも言わないというのは、想像を絶するようなストレスがありました。
たとえるなら、完全犯罪を計画しながら、実行日まで何食わぬ顔で生活しているような気持ちでした。

ストレスで体調が悪くなるということを実感しました。
お腹は空いているのに食欲は無く、数キロ痩せましたし、夜もあまり眠れませんでした。
仕事中も、上司や同僚と話していても素直に会話に入っていけません。
退職代行を実行する予定日以降の話をされても、笑顔で会話できるほど器用ではないですし、何とも答えづらいものです。

どうやら、僕は自分で思っていた以上に、真面目な性格だったようです。
真面目なくせに、こういった形での退職を計画するものだから、後ろめたい気持ちに押しつぶされそうになっているのだと思います。

退職代行は、本当はもっと追い詰められている人が、緊急避難的に使用するのが正しい使い方なのかもしれません。
僕のように、煩わしいことをちょっと他人に任せてみようかくらいのつもりで使うと、真面目な性格の人は辛い思いをするかもしれません。
しかし、僕が自分自身で退職の話ができたかと考えると、かなり苦労しただろうなと思います。
どちらかと言えば僕は情に流されやすい性格ですし、ますます苦しい状況になっていただろうということは、想像に難くありません。
ですので、退職代行を利用したことについては、後悔はありません。

何にせよ、退職代行を使用して辞めた会社の人とは、おそらく二度と会うこともできないですし、会話をすることもないでしょう。
自分が選んだ道でありますが、多少の寂しさは感じます。
しかし、会社の人たちが自分の今後の人生や、健康・メンタルの面倒を一生見てくれるわけではありません。
それらは、自分で守らなければいけないものです。

円満に退職できれば、それが一番良いというのは間違いありません。
ただ、僕にその余力はありませんでした。
『逃げるのは恥。だけど、役に立つ』という、ドラマや漫画のタイトルにもなったハンガリーのことわざがあります。
これは、退職をしようか検討しているすべての人に贈りたい言葉だと思います。

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