ZENO リメイク版(フリー・サイコホラーADV)紹介・感想

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RPGツクールVX ACE製のサイコホラーアドベンチャー「ZENO リメイク版」をプレイしました。
2016年~17年に行われた「第12回ふりーむ!ゲームコンテスト」の脱出アドベンチャー部門で銀賞を受賞した作品「ZENO」のリメイク版とのことです(僕はリメイク前は未プレイです)。
オリジナルのグラフィックやドット絵など細かく作り込まれており、ゲーム開始時から最後まで、「ZENO」の世界に深く引き込まれます。

初回プレイのクリア時間は、約2時間でした。
トゥルーエンディングや別エンドの回収などを全てコンプリートするまでのクリア時間は、約4時間でした(初回の2時間含む)。
流血やグロテスクな描写やカニバリズムの表現があるため、プレイは15歳以上が推奨されています。
ただし流血表現は、ゲーム開始時に非表示にすることもできます。

 

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ふりーむ!

ゲーム概要

「ZENO」は、キャラクターを操作して探索しながら仕掛けを解いていき、施設からの脱出を目的とするアドベンチャーゲームです。
謎の施設の一室で目を覚ました二人の記憶喪失者「継乃ハル」と「前野アキ」のふたりが、本作の主人公たちと言えるでしょう。
2人は最初の部屋の仕掛けを解除するため、やむなくお互いを手錠で繋ぎ、施設の探索を始めることになります。

施設から脱出するには、様々な場所を調べ、謎を解いたり仕掛けを解除したりする必要があります。
施設には様々な資料が置いてあり、それらを閲覧することで、ストーリーの背景や真相を窺い知ることができます。
場合によっては、エンディング条件に関わるものもあるため、しっかりと探索していきたいところです。

ゲームが進行すると、主人公たちの命を狙う追跡者が出現し、追いかけっこをする場面があります。
追いかけっこの難易度は高くありませんが、アクション要素が苦手な人や、そのパートが煩わしいという人は、ゲーム開始時に難易度を選ぶことができます。
ストーリーに影響はありませんので、好みで選択しましょう。

メニューが開ける場面であれば、いつでも好きなタイミングでセーブすることができます。
ゲームオーバーを避けるために、こまめにセーブしておくことをお勧めします。

また、本作はエンディングが複数個あります。
全てをノーヒントで見ることは難しいと思われるので、難しいと感じたら、公式サイトの攻略ページを参考にしましょう。
謎解きの方法も載っているので、詰まってしまった場合に役立つと思います。

感想(ネタバレなし)

初回プレイをで通常エンディングを見たあと、トゥルールートやその他のエンディングを堪能させてもらいました。
自然体でプレイしたら通常エンディングになってしまったので、その次のプレイでは、攻略サイトを参考にしながらトゥルールートに入りました。
エンディングを回収するために、最初からプレイし直さなければいけないことはあまり無いと思うので、ルートの回収はしやすくて良かったと思います。

トゥルールートやその他のルートは、初回の通常エンドからは想像もできないような話が進むため、通常エンド前と後で、作品に対する印象が大きく変わりました。
ゲーム自体は、短すぎず長すぎず、ちょうど良いボリュームでした。

手錠で繋がれた状態のダブル主人公と言うのは、面白かったです。
内容の関連はあまりありませんが、サイコスリラー映画の「SAW(ソウ)」を何となく思い出しました。
メニュー画面のビジュアルも、一蓮托生の2人を強く象徴しており、作品のキービジュアルとして強く印象に残ります。
サイコホラーアドベンチャーではありますが、二人で一緒に行動することが多く、恐怖感はそれほどありませんでした。
何かを調べたりするごとに発生する二人の掛け合いが面白く、何だか微笑ましい気持ちでプレイできました。

探索での謎解きは、基本的にその階層ごとに完結するので、プレイしやすくて良かったです。
他の階に行ったり来たりを何度も強いられると、お使い感が強く出てしまうので、そういうことは無くて快適でした。

僕は追跡者の設定を「1」にしましたが、クリアした後から考えてみると、設定「0」でも良かったかなと思いました。
ほどほどの緊張感を求めて「1」にしましたが、追跡による緊張よりも、探索に水を差される煩わしさの方が少し大きかったかもしれないと感じることもありました。

セーブデータは全部で16個保存できますが、エンディング回収用として、もう少し多く保存できると嬉しかったです。
そのほか、文章を読み進める際に、決定ボタンの連打で選択肢を選び間違えてしまったため、文章スキップ機能や押し間違いを防ぐ仕組みがあると、より嬉しいなと感じました。

ゲーム全体としては、独自グラフィックやドット絵での演出やBGMなど、独特の雰囲気がしっかり出ている作品でした。
エンディング分岐は少々複雑ですが、ゲーム自体の難易度は高くないため、気軽にプレイをし始められると思います。
タイプの違う男性同士のバディものが好きな人や、サイコホラーなどのジャンルが好きなプレイヤーにオススメです。

感想(ネタバレ有り)

通常エンドからは想像がつかないほど、色々な事実が明らかになり、面白かったです。
通常エンドルートではただの追跡者役に過ぎない後之が、トゥルールートでは、かなり重要な役目を果たすので、初回のプレイと印象が変わって楽しめました。

前野と継乃が、実はあべこべだったというトリックは、シンプルながらも意外性がありました。
粗野な雰囲気の前野アキと、温和な雰囲気の継乃ハルは、どっちがどっちでも成り立ちそうなキャラクター造形なので、それが上手く生きていると感じます。

おまけ的なルートに位置する後乃編は、ボリュームがしっかりあって、よく作り込まれていると思いました。
前野アキが医者だと判明した後でも、ZENOを発症した状態になると、フランクな医者キャラから、快楽殺人者キャラへとシームレスにキャラ転換するのが面白いです。
ホールで爆弾を仕掛けたときの前野アキも、個人的にはいいキャラをしていて好きでした。

 

「ZENO」という病気が何だったのか、作中でははっきりとは語られていません。
相手を食べることが究極の愛のカタチだとするならば、ZENOは、誰もが持つ「愛を求める欲望」が、制御不能になるまで増大してしまう病だったのかもしれません。

ZENOの発症については、作中の資料によると「ある日突然、自分の中に異物のような感情が入り込んできた」とあり、後之の考察によると、トラウマ的体験によって引き起こされるということも明らかになっています。
ハルやフユ、ナツはZENOを発症するきっかけとなった事件は分かりますが、アキが最初にZENOを発症したきっかけは何だったのでしょうか。
他の3人に匹敵するほどのトラウマ体験を、アキも体験したということなのでしょうか。
自分の見落としでなければ、作中でその点は語られていないと思うので、気になるところです。

(2021年2月追記)
自分の見落としで、アキもしっかりトラウマ体験をしていました。


エンディングについては、トゥルールートのEエンドが一番好きです。
『愛する人を、友人を殺してしまうような そんな衝動をーーー異物を 誰もが、心に持っているんだ』
『ーーーきっと それを止めてあげるような 気付かせてくれるような存在が 誰しも必要なんだ』このEエンドの言葉が、本作のテーマを一番表現していると思います。

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