セブンスコート(フリー・ビジュアルノベル)紹介・感想

ゲーム
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前書き

「ファタモルガーナの館」で有名な、ゲーム制作チーム・Novectacle(ノベクタクル)の作品「セブンスコート」をプレイしました。

僕は「ファタモルガーナの館」は未プレイなのですが、とても面白いという感想を見かけますし、いずれは購入してプレイをしようと思っていました。
そんな中、同じ制作チームの作品である「セブンスコート」はフリーゲームであり、さらに評価も高いということを知りました。

プレイ時間もそれほど長くないとのことなので、今回プレイしてみました。
クリア時間は約2時間半でした。

ゲーム紹介(ネタバレ無し)

本作「セブンスコート」は、文章を読み進めていくビジュアルノベルゲームです。
選択肢のない一本道の作品です。

主人公であるフリーゲーム制作者・ミシェルは、気付くと「セブンス・コート」というゲーム内の世界に引きずり込まれていました。
なぜこのような状況なのか見当もつかないミシェルは、すぐに同じような状況のキャラクターと遭遇します。
聞けばその人たちは、ミシェルが運営するサイト「ロワイヨムヘブン」の常連のようでした。
状況がはっきりしないものの、ミシェル達はゲームの進行に沿い、ゲーム内を進んでいくことになります。

導入は、異世界に迷い込む系のものです。
登場人物たちのグラフィックが耽美な絵柄なのに、話している内容がネット上でのやり取りそのものなので、そのギャップが妙な面白さを生み出しています。
ネット上と言っても現在の雰囲気ではなく、一昔前のネット黎明期のような、僕にとっては懐かしさを覚える時代のものです。

主人公ミシェルが運営するサイト「ロワイヨムヘブン」は、実際のwebページとして存在し、閲覧することが可能です。
プレイする前にざっと目を通したり、プレイ中に参照することで、よりストーリーが楽しめるようになると思います。
プレイ後に読んでみると、新たな発見もあると思います。

ゲームを進めるにつれ、序盤の面白可笑しいノリは影を潜めていき、シリアスなものとなっていきます。
ゲームの性格上、内容を詳しく語ると面白さが減ってしまうので、気になった人は、とりあえずプレイして欲しいとしか言えません。
それほど長くない作品なので、肩肘を張らずにプレイしてはいかがでしょうか。

感想(ネタバレ有り)

この項目では、ゲームの展開や真相など、ネタバレ要素について多く語っています。
プレイする予定がある人は、読まない方が自然に楽しめると思います。
ご注意ください。

 

本作をプレイしてみると、序盤と後半とで、ゲームの印象が変わっていきました。
最初は、絵柄と会話のギャップを楽しみつつ、ゲーム内のお約束に対して真面目に突っ込んでいくコミカルな作品だと思っていました。
「バトルポカリ」という単語で「レベルE」のカラーレンジャー編を思い出し、思わず懐かしい気持ちと共に笑ってしまいました。

しかし、ネリーやエイドが抱える事情が明らかになる辺りからシリアスになっていき、物語が不穏になっていきます。
ミシェルとジゼルの現実描写パートでも、順調に二人の関係が深まっていくのですが、どこかでストンと落とされるのではという不安がありました。
案の定、温かい気持ちになったところから一転、どん底に突き落とされます。
そのまま放心状態で読み進め、ジゼルの歌の収録シーンでは、思わず涙が出てしまいました。

本作の主人公であるミシェルがゲームの作り手側ということもあり、制作者側の考え方や気持ちが、とてもリアルに描かれていたと感じます。
同時に、ミシェル以外のプレイヤー側についても、よく描かれていたと思います。
ネットを介したやり取りでは、相手が生身の人間だという実感が乏しく、文字だけが相手に伝わる全てとなります。
実際の会話と違って細かなニュアンスが伝わらず、何気ない一言が鋭い刃になり得ます。
当たり前のことではあっても、ついつい忘れがちなことです。
ヤコポが書き込んでしまったような一言は、誰もが放つ可能性のあることでしょう。

ネットマナー的な点はさておき、本作は一つの創作論として、大事な考え方を語っていたと思います。
ミシェルが言うように、「お前が彼女への想いを込めなかったら、誰も楽しいと思える作品にはならなかったんだ」「創作の衝動があったからこそ、話題を呼ぶものになった」というのは、本当にそうだろうなと思います。
何かしらの衝動に動かされて生み出した創作物は、別の人にも何かを残すものになるのではないでしょうか。

以下は、各人物についての所感を書いていきます。

・ミシェル
「電車男」を思い起こさせるような流れでしたが、最後は地獄に落ちることになってしまいました。
制作したゲームについては広くウケていないものの、一部根強いユーザーが存在しているので、それなりにポリシーを持って作っていたのだと思います。
絶望の底で作った悪意の塊が、意図せずに「傑作」となってしまったのは皮肉です。
誰が悪いというわけではないですが、何ともやるせない物語です。
しかし、エピローグで他のメンバーが前向きに生きるようになったということがわかるので、希望が持てる結末で良かったと思います。

・ジゼル
当初、ジゼルもロワイヨムヘブンに書き込んでいる誰かではないかと思っていましたが、そういうわけではありませんでした。
イメオンが彼女にゲームを勧めたことで、結果的に悲劇の引き金になってしまったわけですが、さすがにそれは誰にも責められません。
病気が発覚した後もミシェルに心配させまいと、決して深刻そうに言わないところはやり切れない気持ちになります。

・ネリー
序盤ミシェルからは「(頭の悪そうなスイーツかと思ったが、意外とそうでもないみたいだな・・・)」などと酷いことを思われていますが、メルの発言も考慮すると、割としっかりしたゲーマーのようです。
エピローグを読む限り、まず一番身近な存在である母親と話して分かり合えたようで、とても良かったです。
残ったメンバーの中では一番未来があるキャラクターなので、まずは希望が持てる一歩を踏み出せたのだと思います。

・ヤコポ
本作で一番好きなキャラクターかもしれません。
尊大な態度ですが、それがすぐに虚勢だということがバレていますし、周りからの扱いが割と酷いこともあって、いじられツンデレキャラという印象です。
フェアリーハウスにて、現実のヤコポが暴かれてしまった後は素直に話すようになり、ギャップにキュンときてしまいました。
本人も、自らの軽率な一言を反省しており、とても彼を責められる気にはなりません。
「・・・フェアリーハウスは良いゲームだったよ、ダクナ・・・」と力なく呟くヤコポは、弱い自分をさらけ出しており、これが本来の彼なんだなと思います。

・エイド
登場人物の中でも、少し毛色が違って浮いた存在の四天魔族です。
ゲーマーというわけではないのに、たまたま恋人がプレイしていたフェアリーハウスを気に入るということは、やはりフェアリーハウスは良いゲームだったのでしょう。
エイドとポーリーンに生死の選択肢が与えられなかったのは、もう選択の余地が無い、決まりきった運命だったからなのでしょう。

・イメオン
好きな女性であるジゼルが亡くなり、親友であるミシェルも失いながら、それでもミシェルから色々なものを託され、一番多くの物を背負わされている人物だと思います。
エピローグを読む限り、我々が遊んでいる「セブンスコート」というゲームは、彼が作ったものという位置付けなのでしょう。
彼が肉体的に女性だというだけで、ミシェルへの感情が純粋に友情だけなのか邪推してしまうあたり、僕も人を見た目で判断する人間なのだろうと思います。

・御使い
自殺を防ぐために、ミシェルの創作した世界観を借りて芝居を打つという、意外に大掛かりなことをやってくれる御使いです。
人間ではない存在であるため、お堅い印象がありますが、割と柔軟に色々と対応してくれているようで好感が持てます。
ミシェルからBBSの書き込みが意味不明だったと指摘されたあと、ムッとした表情が出て可愛いなと思いました。

 

2021年5月3日追記:「霧上のエラスムス」もプレイしましたが、本作「セブンスコート」の方が好みでした。
正の感動要素はこちらが強めで、「霧上のエラスムス」は、負の感動が強めの印象でした。

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
本ブログで紹介しているゲーム系の記事まとめ

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