CODA(フリー・SF百合ディストピアノベル)紹介・感想・考察

ゲーム
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MINDCIRCUS」「真昼の暗黒」などを製作された隷蔵庫氏の作品「CODA」についての記事です。
ジャンルは「SF百合ディストピアインタラクティブノベルゲーム」と銘打たれていました。

本作品は、登場人物であるコーダが記録した媒体を、この現代で公開しているという形をとっています。
公開当初は、次のエピソードを閲覧するためのパスワードを本編中で探し、公開サイトでパスワードを入力してプレイするという、ちょっとした宝探し的な要素が盛り込まれていました。
その点が、インタラクティブノベルゲームと銘打たれていた所以であり、面白い仕掛けだったと思います。

現在は、ゲーム本編に関しては一括でダウンロードして、遊べるようになっています。
パスワードが分からず先へ進められなかったプレイヤーも、今はパスワード無しで読むことができます。
ちなみに僕も、公開当初はパスワードが分からず、断念したプレイヤーの一人です。

すべてを読み終えるクリア時間は、約4時間だと思います。
ただ、何度も繰り返し読んでいたりしたので、総プレイ時間は8時間くらいになっていると思います。

ダウンロードはこちら(公式サイトの作品ページ)

Coda

ゲーム概要


ゲームは、文章を読み進めていくビジュアルノベルです。
現在配布されているダウンロード版の本編では、どのエピソードからでも始めることができます。
ただし、飛び飛びにプレイしていく意味はあまりないと思われますので、通常通りエピソード1から順番に読んでいくと良いと思います。

時折選択肢が表示され、それによって追加資料が得られたり、そのあとの展開が変わる場合もあります。
ただ、一つ一つのエピソードが切り離されているので、選択肢が他のエピソードに影響を与えるようなことはありません。

ゲーム投稿サイトに記載されているあらすじは、以下のような内容です(「ふりーむ!」より引用)。

2XXX年、遠未来。
海内都市東京は過去の戦禍を二度と起こさぬよう、個人の行動を逐一観察する超監視社会となった。
娯楽は制限され、家族は解体された。
子供達は初等教育までの記憶を消され、親を持たずに生きる。
人々はそれなりに幸せに暮らしているが、主人公・コーダはなんとなく馴染めずにいた。
友人のレガート、気の合わないパートナーのリフとだけ顔を合わせる日々。
コーダはたまに会うプラチトという暗く寡黙な女子学生になんとなくシンパシーを感じていた。
だがある日、大学生初の処刑者がプラチトだということが発覚する。
公開処刑される彼女。沸き起こる喝采。
これをきっかけに、コーダの身の回りでおかしなことが起き始める。

以上のような内容です。
エピソードは、コーダ編が1~6、リフ編が1~4、プラチト編が1~2と、3人の視点からプレイすることができます。
僕がプレイしたのも、上記の通りの順番でしたが、おそらくこの順番が読みやすいだろうと感じます。

感想(ネタバレ無し)

厳しく管理されたディストピア社会の中で、若者たちの日常や青春、政府の陰謀などを描いた作品です。
近未来ならぬ「遠未来」が舞台であるため、人々の生活様式・文化・考え方などは、我々とは大きく異なっています。
SF作品を好んで読んでいた人であれば、馴染みやすい設定であるかもしれません。
オーウェルの「1984」や栗本薫の「レダ」、映画「ブルークリスマス」、漫画版「風の谷のナウシカ」のような要素が感じ取れました。

遠未来なので、我々とは価値観も文化も違うのだと、何度も示されています。
しかしそれでも、知らず知らずのうちに、自分が先入観を持って読んでしまっていることを突きつけられる展開もあります。
1から10まで世界設定を細かく説明してくれるわけではないので、日常の描写や登場人物の言動から、推測や想像しなければわからないこともあります。

過去作品同様、一つ一つの地の文や会話文を読むのが楽しいです。
その世界で住む人たちの暮らしをリアルに想像させる日常会話や、将来のことや人間関係のこと、哲学的・政治的な内容の会話など、青春時代を思い起こさせます。

コーダたちが遭遇する事件は、世界を一変させるような大きなものに繋がっていくのですが、その事件はあくまで背景であり、一貫して人物にフォーカスして描いているように感じられます。
コーダやリフ、レガート、プラチト、スタックなど、主要な登場人物は多くありません。
そこで描かれる人間関係についても、我々の社会とは色々と違う社会での人間関係です。
ジャンルに「百合」と付いていますが、それがメインという訳ではなく、我々と異なる価値観の社会の話だということを、強調する程度に考えれば良いと思います。
同性愛的な内容が何が何でも苦手だという人でないのなら、気にせず楽しめるのではと思います。

ゲームの機能的な感想としては、テキスト表示速度を設定で変更できるとありがたかったです。
また、バックログ機能で読み返せる範囲も、それほど広くありません。
そのため、読み返したいポイントでセーブしていくのですが、セーブできるファイル数も8個と少なめです。
謎や伏線が多く、考察が必要な作品であるだけに、読み返しやすい機能があれば、より嬉しいと感じました。

感想(ネタバレ有り)

リフのエピソードを最後まで読み進め、コーダとリフの物語の結末には辿り着くことができました。
プラチトのエピソードは、CODAの世界の裏側に迫る視点だったと言えるでしょう。
コーダやリフ視点からは、超然として見えたプラチトでしたが、プラチトの主観視点では、スタックに惹かれてラルゴに嫉妬する、年相応の少女に見えました。
性格が変わってしまった理由の一つとしては、エピソードの最後の出来事が原因だったのかもしれません。

リフ視点は、時系列としてはコーダ視点の後に位置しています。
ラストのエピソードがリフ視点なので、読み終えたあと、リフが主人公だったように感じられます。
密告をしてもしなくても、どちらの結末も味わい深くて良かったです。

好きなシーンはいくつかありますが、多くはリフのシーンでした。
あまりたくさん紹介するのは大変なので、特に心に残ったシーンは以下のシーンです。

コーダにオーディションへの応募を勧められたシーンです。
自分の一番好きな趣味で勝負することの怖さは、とても共感できることでした。
もし一番好きなことで、他人より劣っているということが分かってしまったら、もう何も頑張れなくなってしまうのでは、というような感覚です。
ただ、リフはそれを乗り越えて、応募することを決意したわけですから、そこは強く応援したいという気持ちになりました。
それだけに、コーダのちょっとしたミスから悲劇的な結末になってしまったのは、心が痛かったです。


選考を通過したときのリフのこの表情は、全編を通して最高の笑顔だったと思います。
大学時代でのコーダとリフの関係で言うなら、まさに折れ線グラフの頂点だったと思います。


上の画像のように、リフ・レガート・プラチトの3人がおしゃべりをしている光景は、何だか違和感があるようなほっとするようなシーンでした。
ツンケンしていたリフが、年月とともに少し柔らかくなっていくのは、成長を感じさせます。

考察(ネタバレ有り)

さて、本作「CODA」には、深く語られていない事項や謎などが、複数存在しています。
以前、サイト上からプレイした際に見ることができたドキュメントが、おそらく現在は見られなくなっています。
そのため、考察としては不十分かもしれませんが、自分が分かったことや、わからないことについて、まとめていこうと思います。
見落としや勘違いなども多いかと思いますが、とりあえず書いていきます。
新しい発見などがあれば、適宜、追記や修正をしていこうと思います。

・アニュス・デイについて
アニュス・デイという言葉自体は、ミサ曲などを表す言葉ですが、作中では、組織が行動を起こす作戦名のように使われていました。
「X・デイ」のような語感とも似ていて、格好いいなと感じました。

世間の認識としては、既存の秩序が脅かされた大事件の通称として認識されているようです。
具体的内容としては、リフ編のエピソード1冒頭で語られているように、全国民のOWが停止し、多数の被害者が出てしまったという事件です。
これにより、政府の管理社会がある程度傾いているものと推測されます。

とはいえ、国家権力は依然として強大な力を持っているようです。
OWを停止させた方法は、スタックが放送局で、とある音楽を流したことのようですが、ひょっとするとその曲名が「アニュス・デイ」だったりして、こういう作戦名だったのかもしれません。

・リフがコーダを殺した?
リフ編の冒頭で、リフはコーダについて、以下のように述べています。
『彼女は大学1年生の12月半ばに消えた。その後すぐ、アニュス・デイがやってきた。
システムダウン自体はこの日の前にも局地的に起きていたらしいから、それに巻き込まれたのかもしれない。』
これを読んで僕は、オーディションの一件以来、やはりリフとコーダの関係はうまく修復されなかったのか、くらいに思っていました。

しかし、リフ編のエピソードを読み進めていくと、『コーダを殺したのは、私であるという事実を。』という言葉が出てきます。
このセリフは、リフ自身の『嘘や隠し事が白日のもとにさらされる』という文脈で発せられたものです。
すなわち、『自分が密告してコーダを殺したのだ』ということが、その隠し事の一つなのでしょう。

コーダ編のエピソード6のラストは、失意の中にあるリフが、青い血を流すスタックとコーダを目撃し、『人を殺したの?』と聞いたところで終わります。
この描写から考えると、リフはその後、おそらくコーダを密告したのでしょう。
二週間の欠席で、評価をかなり落としてしまったリフが、(花形ではなくなったとはいえ)高倍率の歴史修正局に滑り込むことができたのは、この密告によるプラス評価のお陰だったのだろうと思われます。
リフ編のラストで語られる『人生で二人、殺した。』という発言も、母親とコーダのことを指しているのでしょう。

・赤い血と青い血の人間
コーダ編のラストのスタックの流血で、はっきりとした形で描写される「青い血」についてです。
この青い血は、いったい何を示しているのでしょうか。
一通り本編を読み終えれば、旧人類が赤い血、新人類が青い血であるということは読み取れます。
そしてアニュス・デイを起こした組織は、赤い血の旧人類側であるということもわかります。

新人類は、おそらくアンドロイド的な存在で、繁殖の方法も我々とは違うはずです。
他の特徴としては、アニュス・デイで使われた楽曲やFly sprayの影響を受けるといった点や、同性愛を通常だと捉えている点などです(例外もありますが)。

・血の色からのプラチト考察
プラチト編のラストで、プラチトは両親に、『私の血は、どうして赤色なの?』と質問しています。
また、ラルゴやプラチトにFly sprayの影響が出なかったことから、プラチトは赤い血の旧人類、すなわちRed-Codeであることがわかります。

しかし、リフ編のエピソード4で「密告する」を選んだラストでは、自殺未遂をしたプラチトが青い血だったと書かれています。
つまり、少なくともプラチト編終了までは、プラチトは赤い血だったのだと思います。
そしてその後、処刑された後に、青い血の新人類として復活したのではないでしょうか。
おそらくコーダを復活させたのと同じ技術で、自我を保ったまま新人類に生まれ変わったのではないかと思います。

復活後のプラチトとレガートとの会話では、アニュス・デイを止めようと動いているようです。
反政府的な思想のプラチトではありますが、人殺しも厭わない過激な地下組織とは決別し、独自に反政府活動をしているのだと思われます。
ただ、地下組織と決別したもう一つの要因は、スタックとラルゴの関係への嫉妬もあったと感じます。

プラチトについては、リフと護民官の会話で、以下のようにも語られています。
『彼女の血は青かったそうですね。』
『不思議ですね、それにもかかわらず国に背くとは。かつて赤い血を持っていたせいでしょうか。あいつらもだいぶ少なくなったが……』
(リフ編エピソード4、密告するルート)
このように政府側も「プラチトは赤い血だったが、青い血になった」という認識は持っているようです。
政府高官の家族という立場を利用し、上手く手を回して生まれ変われたのかもしれませんが、とりあえずプラチトが反政府的な立場というのは、間違いないでしょう。

・政府と組織の争い
おそらく政府は、赤い血を持つ旧人類を見つけては処分し、青い血の新人類に入れ替えているのでしょう。
その際、個人の人格ベースとなる記憶を外部に抜き出し、修正を施した上で、新たに作った新人類の体に入れ替えているのだと思います。
これが技術的に可能だということは、リフ編後半のコーダ復活の手段からも明らかです。

そして地下組織側としては、赤い血を持つ旧人類を多く見つけたいと思っているはずです。
そのために、血を流させるような事件を多く起こさせたり、コーダの裏バイトのような店で相手に傷をつけて、同志にスカウトしているのではないでしょうか。

・誰が赤い血か?
作品中で、赤い血を持つ人はそれほど多くありません。
コーダは、スタックに首を斬られた際、赤い血であることは明らかです。
赤い血でありながら、同性に惹かれる傾向があるのは、異端だという印象を与えます。
ただし、プラチトに復活させられた後は、青い血になっていることでしょう。
その際にはもう、血の色はほぼ関係ない状況ではありますが。

スタックは、おそらくコーダの兄か弟だったのだと思います。
しかしどこかのタイミングで、自分でも気づかないうちに青い血になっていたのでしょう。
それでも組織に入ることができたのは、反社会的な思想や、OWのバグのお陰なのかもしれません。
ラルゴへの好意を上手く利用されていたということもあるでしょう。

リフは、自分と似ていない母親のエピソードや、青い血が普通という認識を持っていることから、青い血であると考えられます。

レガートは、プラチトにはっきりとブルーと言われていることや、過去のゴア映像からも間違いないでしょう。

プラチトは前述したように、最初は赤い血であるはずですが、どこかのタイミングで青い血に変わっています。
処刑された際に変わったと見るのが自然でしょう。

 

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
本ブログで紹介しているゲーム系の記事まとめ
ゲーム
ひとりアウトプット広場

コメント

  1. 匿名 より:

    プレイ後ずっと感じていた疑問の答えを見つけることができました。とても分かりやすい考察でした。ありがとうございます。

    • losspass より:

      コメントありがとうございます。
      答がゲーム中に明記されていない事が多いので、推測によるところが多いですが、分かりやすいとのお言葉をいただいて嬉しいです。
      ありがとうございます!

  2. 匿名 より:

    考察が楽しい作品ですよね。
    読んでいて新しい発見があり面白かったです。
    特にスタックは赤から青になったのでは、という部分に目からウロコです。
    自分はただコーダと一緒に育っただけだと思っていたので。

    サイトのギャラリーとチャットにも考察に役立ちそうな箇所があり
    現在ページに飛ぶ方法がないだけなので
    ちょっとアングラな方法ですが、URLをいじれば見られます。
    (それっぽい部分をgalleryに変えるといった感じです)
    よろしければ参考にしてください。

    • losspass より:

      コメントありがとうございます。
      コーダ編ラストでスタックが自分の血の色を見たときに、驚いているような描写があったので、変わってしまったのだと感じました。
      もちろん、スタックは最初から青だったという可能性もあると思います。
      確定的な情報が無ければ、自由に考察して解釈できるのが、本作の面白い所ですよね。

      情報提供ありがとうございます。
      ギャラリーはURLを直接入力で閲覧できましたが、チャットにはうまく入ることができませんでした。
      今後も何か発見したことがあれば、追記していこうと思います。

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