密室殺人ゲーム王手飛車取り(小説・歌野晶午)感想

本記事では、歌野晶午の「密室殺人ゲーム王手飛車取り」を読んだ感想を書きますが、関係ない内容もかなり書いています。
ご注意ください。

前書き

実は、僕はこの本を2回購入しています。
中古で安く購入して一度だけ読んだりすると、ついつい忘れてしまってもう一度買ってしまうということがあります。
今までに2、3回やってしまっているのですが、そのうちの1回がこの本です。
特に、Amazonのマーケットプレイスでは、本の価格は1円・送料が250円などで安く購入することができます。
新品よりも安いので、多くの本を買い漁り、一度だけ読んでそのままタイトルと内容を忘れてしまうこともあります。
読み始めると大抵「あ、これは読んだことあるやつだ」と気付くのですが、タイトルだけだと読んでいないと勘違いしてしまうことがあります。

しかし、面白くなかったから忘れてしまっていたわけではありません。
単純に記憶力の低下により忘れてしまっていたようです。
事実、今回2回目を読んでみた際も、細かい部分は忘れてしまっていたのですが、やはり面白く感じました。

歌野晶午を知ったきっかけ

僕は読む本を探すとき、おすすめのミステリなどがまとめてあるサイトで探すことがあります。
歌野晶午という作家は「葉桜の季節に君を想うということ」の作品で初めて知りました。
「葉桜」も、一度は読んでおいてよかった思えるような作品でしたが、個人的にはあまり好みではありませんでした。
どちらかと言えば本作の「密室殺人ゲーム」の方が僕にとっては読みやすく、好きな雰囲気でした。

「密室殺人ゲーム王手飛車取り」の感想(ネタバレあり)

メインキャストが探偵役でありながら殺人犯であるという設定は、かなり興味をそそられました。
こうして文章に書くとかなり斬新ですが、実際に小説を読むと「そういうこともあるかもな」と思えるくらいの時代になってきたようにも思えます。

余談ですが、登場人物の多くがハンドルネームという設定は、金田一少年の事件簿の小説である「電脳山荘殺人事件」を思い出します。
20年前の時点でこういった内容の作品を書いているのはかなり凄いですし、こちらも小説が非常に面白いです。
興味を持った方にはぜひお薦めしたい作品です。

さて、本作の面白さは中盤からだと感じました。
最初のゲームであるQ1はなかなか実行犯の意図が伝わらず、かなり間延びした展開でした。
解答自体も、そう言われてみればそうだねというくらいの、クイズの答を教えてもらった程度に感じ、それほど感動しませんでした。
おそらく、彼らがいつもやっている「殺人ゲーム」の説明を兼ねているため、やや丁寧に描写したのかもしれません。
ただのクイズに殺人をしているという、このゲームの異常性を書いておきたかったのでしょうか。

その後のゲームも、個人的にはあまりそそられませんでしたが、Q5の「044APD」の出題は非常に面白く興奮しました。
事件の途中経過も含め、トリックの解答を議論をしているシーンも楽しめました。

そしてQ7は、それまでの伏線を上手く生かした内容で、見事に騙されました。
僕がミステリを読む際は、作者のトリックを見破ってやろうと考えながら読むわけではなく、騙されたいと思いながら読んでいます。
(見破ってやろうと思いながら読んだとしても、おそらく見破れないことの方が多いでしょうが・・・)
そういう意味では、気持ちよく勘違いさせられたので、とても満足しています。

ところで、タイトルの「王手飛車取り」とは、何を象徴しているのでしょう。
ラストの「逃げれば殺人ゲーム仲間が死ぬ、逃げなければ永遠に終わらない」というジレンマの状態のことでしょうか。
何となく意味は通る気がしますが、最後までタイトルがしっくりきませんでした。
タイトル自体は結構好きな語感なのですが、その点が少し気になっていました。

個人的に好きなキャラクターは、クールな「044APD」と「ザンギャ君」です。
044APDは、探偵役の時も鋭いですし、出題者の時のゲームQ5も、なかなかのトリックでした。
ザンギャ君は、わざとらしいほどにオラついているのが、逆に臆病な本性を見せまいとしているようで、人間味を感じました。
頭狂人の正体を知ってテンションが上がっている様子がありますし、最後のゲームも頭狂人の身を案じていました。
口が悪いけれど仲間は大事にするような雰囲気が出ていました。
もっとも彼らは全員、平気で他人を殺す殺人者なのですが、読者の視点が彼らなのでどうしても感情移入してしまいます。
最後は次回作に続くという終わり方なので、どのような結末に終わったかは本作ではわかりません。
次回作についても、また感想を書こうと思っています。

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