NEXT DOOR 悠遠の世界(RPG)紹介・感想・攻略メモ

ゲーム
この記事は約13分で読めます。

BOOTHにて販売しているインディー作品「NEXT DOOR 悠遠の世界」を紹介する記事です。
RPGツクールVX Aceで製作されたRPGですが、かなりカスタマイズされており独自要素も多いです。
「第14回ふりーむ!コンテスト」の長編RPG部門で金賞だった「デイドリームリバー」の製作者・莞爾の草氏による長編RPGです。
「デイドリームリバー」では独特の雰囲気のストーリーに惹かれたので、本作もプレイしてみたいと思い購入しました。

クリア時間は、最初のエンディング到達が約13時間でした。
もう一つのエンディングまでは、さらに9時間ほどかかりました。
かなりウロウロと迷っていたので、実際はもっと短くなると思います。

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ふりーむ!
体験版のセーブデータは、フォルダをコピーすることで製品版に引き継ぐ事ができました。
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BOOTH

本作の攻略情報だけでなく設定の裏話や解説、前作のEDに関する情報など、気になる情報が盛りだくさんです。

ゲーム概要

記憶を失った状態で異世界に召喚された少女・トワコが主人公です。
トワコを呼び出した科学者・エヴァが言うには、人間が排斥されているこの世界で、異世界人は人間を救う可能性がある希望の存在だというのです。
人間を排斥している黒王国に対抗するため、トワコと仲間たちはこの不思議な世界を回ることになります。

本作はRPGですが、様々な独自要素が盛り込まれています。
いくつかの要素について、順番に紹介していこうと思います。

戦闘

本作の戦闘は、素早い者から順に動いていく方式です。
画面上部の顔アイコンが右端に到達したキャラから行動していきます。
素早さが高いほど移動していく速度が速いため、戦闘では有利となります。

戦闘画面には、たくさんの情報が開示されています。
パーティーメンバーのステータスと敵のステータスを参照すれば、与えられるダメージが事前にわかるため、計算を立てやすいと言えます。
「調べる」コマンドで敵の情報を解析すると、それ以後の戦闘でもずっと敵のステータスが表示され続けます。
初めて遭遇する敵には必須のコマンドと言えるでしょう。

戦闘では、通常攻撃のほかにスペシャル(技・魔法に該当する)や防御、アイテムなどが使用できます。
攻撃や被ダメージなどによって溜まっていく「イデア」が100%になれば、キャラ固有の大技「アイデンティティ」を使用することも可能です。

そのほか面白い独自要素としては、いくつかのスペシャルではMPを余分に消費して威力を調整できる点です。
通常よりもMPの消費効率は悪くなる場合が多いですが、あと少しで敵を倒せる場合などには特に有用です。
調整できる数値には限度がありますが、状況に応じて同じ魔法でも色々な使い方ができるというのは面白い点です。

ちなみに、戦闘が終わると全員のHPとMPは5ずつ回復します。
スペシャルを温存し過ぎるとかえって被害が大きくなるため、思い切りよく使っていきましょう。

ステータス割り振り

本作はレベルがアップすると割り振りポイントが与えられます。
レベルが1上昇すると1ポイント貰える仕組みで、自動的に上がるパラメータはありません。
すべてプレイヤーが割り振ることになります。

戦闘の項目で書いたように、本作では味方と敵のステータスから与えるダメージは厳密に計算できるようになっています。
能力値のインフレ度合いは非常に少なく、能力値が1上がるだけでもその効果の大きさが実感できます。
どの能力値にポイントを割り振るかで戦闘の難易度が大きく変わってくることでしょう。
なお、能力値の割り振りのリセットは、アイテムや教会で気軽に行うことができるため、それほど慎重になる必要はありません。
色々試すことで割り振り方のコツが掴めてくると思います。

ゲーム開始時点で各パラメータに割り振れるポイントの最大値は8ですが、ストーリーの進行に伴って増えていきます。

装備品によるスキル習得

本作では、キャラクター固有で持つスペシャルのほかに、装備品から習得できるスペシャルが数多く存在します。
魔法を習得するためのバッジがその典型であり、装備している間、その魔法を使用することができます。
装備したまま戦闘を重ねるとそのスペシャルの習熟度が上がっていき、最大値まで上がると装備を外した状態でも使用できるようになります。
キャラの能力に合ったスペシャルを習得させていくと効率が良いでしょう。

オートセーブ

本作ではメニューが開ける場面では、どこでも30ファイル分セーブできます。
それに加えて、本作ではほんの少し移動しただけでも、オートセーブ枠にさらに30個保存されています。
それほど細かくセーブする必要はない難易度ではありますが、予期しないエラーやシャットダウンに見舞われても安心できる作りとなっています。

その他の要素

そのほか、色々な依頼を解決するクエストの要素や、ミニゲームとは思えない作りのアクションゲーム、シューティングゲーム、ダンジョン内のパズルなど、様々な仕組みが施されています。
戦闘スピードの倍速化や会話履歴確認などの快適にプレイするためのシステム面も充実しています。
RPGでダレてしまいがちな部分を解消するような仕組みが、かなり細かく組み込まれています。

感想(ネタバレ無し)

初回のプレイで最初のエンディングを見た後、途中からプレイし直して2つ目のエンディングへと到達することができました。
ゲームの本筋は迷うことなくどんどん進めていくことができるのですが、2つ目のエンディング条件に関わる寄り道に、かなり手こずりました。

ヒントが少ない中での攻略だったので、いくつかのイベントは自力で攻略することができませんでした。
しかし同じく攻略中だった相互フォロワー様と情報交換することで、何とか突破することができました。
どうしても2つ目のエンディングを見たかったので、無事にクリアできて感無量です。

さて、本作は「異世界に召喚されて記憶を失った主人公が、動物たちが言葉を話す世界を旅する」という、王道ファンタジーを思わせれる導入です。
しかし本作では、動物たちも人間たちと同じように権利を持っている存在として、思想や差別に関する問題を誤魔化さずに描いています。
ファンタジーというより、藤子不二雄のSFを思わせるような印象を受けました。
時には残酷で生々しい描写もありますが、ストーリーがどのように展開していくのか気になり、どんどん進めたくなります。

早く進めたくなるプレイヤーの気持ちを後押しするのが、システム周りの快適さです。
戦闘に必要な情報が過不足なく開示されており、やり込むプレイヤーは緻密に計算して戦うことができます。
戦闘速度を倍速にできるため、その点も非常に快適でした。
プレイ環境にもよると思いますが、戦闘中に、デフォルトのカラーパターンだと、項目を選ぶ際に何を選択しているか分かりづらいことがありました。
しかしカラーパターンで「反転」を選ぶと問題なく見えるようになったため、配慮が行き届いていると感じました。

グラフィックはオリジナルのものが多く使われており、贅沢だと感じます。
プレイヤーキャラだけでなく主要敵キャラもぐりぐり動くので、そこに大技のカットインが加わると見た目にも豪華です。

BGMについては、盛り上がる格好いい曲が豊富に使われており、耳に残っています。
通常戦闘やボス戦のBGMが、シナリオの進行に従って変わっていくので、新しい土地に足を踏み入れる際は新鮮な気持ちで臨めました。

戦闘については、後述するように難易度は高いと感じませんでした。
(迷ってレベルが結構上がってしまったのが原因なのかもしれません)
しかし「お助けGUI」(人々の依頼を解決するクエストのようなもの)は、ヒントが少ないものもあり、結構難易度は高く感じました。
全くのノーヒントというものはあまり無かったように思えますが、楽しく探すことができました。
果てなき探索の末に、解決の糸口をつかめた際は凄くテンションが上がります。
幼い頃、自分なりに色々と試行錯誤しながらゲームをした思い出が懐かしく思い出されました。

ストーリーはライトではありませんが、快適にプレイできる中編~長編RPGとして楽しませていただきました。
ただし単体でストーリーを理解することもできますが、真EDの意味を完全に理解するには、前作「デイドリームリバー」のプレイをしておいた方が良いかもしれないと思います。
(ちょうど「クロノ・クロス」と「クロノ・トリガー」の関係に似ているかもしれません)

攻略メモ(ネタバレあり)

本作の戦闘難易度は、それほど高くはありません。
ステータス割り振りを大きく間違えなければ、全滅することはなくクリアできると思います。
実際、僕は初見で一度も全滅することなくエンディングを迎えることができました。
本項では、重要だと思った戦闘面でのコツと、ゲームの進行で詰まったところについて記していこうと思います。

ネタバレ要素を多分に含んでいますので、自力でクリアしたい人はご注意ください。

戦闘面について

「調べる」の有用性

「学者の卵」で習得できる「調べる」は、一度敵に使えば、それ以降同じ敵が出現したときに情報が自動で表示されるようになります。
残りHPも表示されて便利なので、初見の敵にはどんどん使っていくと快適です。

「割り振る」の基本戦略

本作の特徴的な成長システムであるステータスの割り振りについてです。
基本的には、各項目をバランスよく上げていくのではなく、ピーキーな割り振りが有効だと感じました。
トワコは最終的にはバランスよく振り分けても良いと思いますが、序盤は弱点を突きやすい魔法力をガンガン上げていくと戦いやすいと思います。
エヴァも同じく、魔法特化が良いと思います。
ナーシャやダリルは物理攻撃力を特化して育てていくと、通常戦闘でも効率が良いと思います。

万が一、ボス戦闘で詰まる場合があれば、随時ステータス割り振りをやり直せばいいでしょう。
ただ、本作では道中の敵を普通に倒していくだけで結構レベルが上がっていくので、そこまで試行錯誤は必要ないように思えます。

有用なアクセサリを見極める

本作では多くのアクセサリが入手できますが、かなり役立つと感じたものについて書いていきます。
海の国で購入できる「水底の石」は、毎ターンMPが2回復する上に、歩いているだけでも少しずつ回復していきます。
複数装備することで効果が重複するので、枠に余裕があれば複数装備することで魔法をガンガン使っていけるようになるでしょう。

また「コストカット」は、効果は重複しないものの消費MPが半分になるアクセサリです。
後半では購入することができるので、魔法メインのキャラには全員装備させておきたいところです。

終盤で購入できる「教会の免罪符」は高価ですが、主要なステータス異常を防ぐアクセサリです。
全員分購入できれば盤石ですが、高価なので「イミュニティ」の魔法でも代用できます。

他にも攻撃が急所にあたりやすくなる「ラッキーチャーム」と「デュアルアタック」のコンボなど、打撃系キャラに効果的なアクセサリもあります。

エンディング分岐について(ネタバレ注意)

普通に進めて行くと、後味が良くないエンディングへと到達します。
その後のエピローグで、別のエンディングに到達するための条件が示唆されます。

この項目に真EDの条件を記載しようと思ったのですが、攻略ガイドブックに載っているため、書かない方が良いと判断しました。

個人的に手こずった部分について(ゲーム本編)

本編では特に進行に詰まることはなく、ほとんど順調に進めることができました。
少しだけ手間取ってしまった箇所について、メモを残しておこうと思います。
RPGはちょっとした勘違いで詰まってしまうなど個人差があると思うので、人によっては全然問題とならない場合もあると思います。
「別にこんなところではつまづいていない」という人もいると思いますので、その場合は読み流してください。

・雪の国への行きかた
雪の国へ行くには、海の国で長老の甲羅に入った直後の海路で左側の道を進むと行けます。
最初に海路を通った際に、メロナの「こっちの道は寒くて危険」という注意を聞いていれば、すぐに思い当たることなのだと思います。

・雪の国のテトリス
雪の国の門で出会うパズルの答えは、町の入り口にある石碑の、すぐ右上の民家のメモに書いてあります。
自力でクリアするにはかなり大変だと思います。

・トワコルートの最終ボス
ラスボスはかなりダメージが与えにくいので、ホーミングミサイルやスターダストといった、固定ダメージ系や割合ダメージの技であれば効率よくダメージを与えられると思います。

依頼関係一覧と攻略メモ

お悩みGUIの解決で手間取ったものについて書いていきます。
解決できる最後のタイミングは、冒険メモで「二手に分かれて空の洞窟を攻略する」と表示されているポイントです。
その時点まで本編を進めていれば、すべて達成することが可能です。

以下は依頼一覧で、最終的に32個の依頼が出現します。
難しかった依頼に関しては攻略を書いていこうと思いましたが、攻略ガイドブックに載っているのでそちらを参考にした方が良いかと思います。
そちらに載っていないことを中心に記載していきます。

(数字は依頼の通番です)

6・犬の村の火を消す
1~5の犬の仲間たちを全員集めると出現します。

16・バッバに会いに行く
ダリルの父親は、救急箱のある家の左側から移動できます。

22・ゲームがクリアできない
攻略法としては、画面下側で弾を連射するとクリアしやすいです。
こちらの弾を敵の弾に当てると相殺して消えるため、側面からの敵と弾にだけ気を付ければ比較的役にクリアできます。

23・腕試しをしたい
サラディンは海の神殿の最奥におり、話しかけると仲間になります。

あとがき(ネタバレ注意)

本項では、「NEXT DOOR 悠遠の世界」と前作「デイドリームリバー」に関するネタバレが含まれています。
プレイ前に読むと楽しさを損なう可能性がありますのでご注意ください。
プレイし終わって思ったことを、徒然なるままに書いています。

 

前作「デイドリームリバー」のラストは結構悲惨な終わり方でした。
しかし本作で、ハルカが時間を操る能力をコントロールできるようになったことで、救われる可能性が出てきたので良かったと思いました。
巻き戻すことによって「デイドリームリバー」の伊沢たちの行動が無かったことになってしまったとしても、ハルカが覚えているのなら無駄にはならないのだと思います。
この辺りの前作が絡む要素は、前作をプレイした人へのファンサービスとしての側面もあると思います。
攻略ガイドブック」は攻略情報だけでなく、前作デイドリームリバーの隠されたエンディングを見る方法も書いてあります。
本作の真ED後に見ると感慨深いと思います。

前作との絡みはさておき、本作単体で見たとき、この物語は「再臨」の物語であったと感じました。
大昔にヨンデルスワットに現れた救世主が、再度現れて世界を救うというものです。
そのせいか同様のストーリーを持つキリスト教と関係が深いワードが多く出てきました。

ラストでハルカが伝えた「隣のものを愛せよ」という言葉は、キリスト教で語られる隣人愛そのものです。
また、言葉が通じない動物たちにできるだけ言葉を教えるというのは、バベルの塔のエピソードを思わせる話でした(通常エンドでトワコが他者の言葉を理解できなくなったシーンも同様です)。
隣人愛や他者とのコミュニケーションは、どちらも相互理解のために必要不可欠な要素です。
同じ言語を話す日本人同士でも、いざこざが絶えない世界に住んでいる僕としては、本作は他人事ではなく感じられました。
エンディングを迎えた後もめでたしめでたしというわけではなく、これからも戦い続けていくという気持ちにさせられました。

 

ところで、キャラクターについて語っていないので、印象深かったキャラについて少し語ろうと思います。
もっとも好きだったのは、ロダン&サンパールのコンビです。
ロダンは犬の村のために黒王国に属していたことがわかってからは、あまり敵とは思えなくなっていきました。
犬の村復興イベントを経験してからは尚更です。
そんなロダンにぞっこんなサンパールは、本編前半ではデレを出せずにいましたが、後半では「両親に挨拶して欲しい」などと軽いジャブ(?)を出すように成長していきましたが、ロダンにその想いは届いていないようでした。
ところが最終戦でのイベント戦闘で、リュールの攻撃からサンパールを「身代わり」でかばうあたりは、細かい演出ですがグッときました。
良いコンビだと感じます。

エンシール大佐も結構好きでした。
登場時から何やら敵とは思えない憎めないキャラで、倒した後にやられた振りをしてくれないかと持ち掛けるのは面白かったです。
大物なのか小物なのか分からないギャップで、コメディリリーフ的な面白さがありました。
戦闘終了時にちゃんと20000マル手に入るのが面白いです。

無口ですが、サラディンも好きなキャラでした。
初めて海の国に訪れた際は、物理アタッカーとして頼れますし、余計なことを言わずに仕事をしてくれる格好良さがあります。
リュール覚醒後、雪の国からアエバン島に帰る時にサラディンがいると、自ら海に潜ってメロナを探してきてくれるのは好きなシーンです。

ロランドーテは、生き物であるなら魂を抜きとれるという超強力な能力と独特の口調のギャップが魅力でした。
ナーシャのような存在がいなければ負け確定なので、強キャラ感がありました。
ダリルの父の話からすると、一度は見捨てられた町に流れ着いたことが窺えるのですが、背景が気になるキャラクターです。

ダリルはその口調や振舞いもあって、女性であるということを全く感じさせないキャラでした。
理性的で現実的な考え方をする人物なので、ますます男性的な印象でした。
主にエヴァ・ダリルの2人を中心に物語が進んでいくので、存在感は大きかったです。

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
本ブログで紹介しているゲーム系の記事まとめ
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