漫画「サイケまたしても」(福地翼)全15巻完結 紹介・感想

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前書き

本作「サイケまたしても」を読んでみたきっかけは、ウェブ上の広告がきっかけです。
僕は広告がきっかけで、コミックスを読み始めることは割とあります。
結構しつこくて嫌になることもあるWeb広告ですが、今回はそれがきっかけでした。

広告の画像から、「主人公が時間逆行の能力を持つ」という能力バトルものだとわかり、面白そうに感じました。
自分の中で、主人公が何度もやり直せるループ能力を持っている作品は、大体面白いという経験があります。

僕のようなゲーム好きな人間は、ゲームの中でセーブ&ロードを使い、希望の結果が得られるまでやり直すということは、日常的に行っています。
だからこそ、その能力の活用に共感しやすいのかもしれません。

しかし「時間を逆行する能力」は、はっきり言って、とても強力なチート級の能力です。
無制限にいくらでも使えるのであれば、最強過ぎて面白くありません。
読者にストレスを与えないように、どのように制限やリスクを与えているか、そういった点にも興味を持ちました。

作品概要

漫画「サイケまたしても」は、2014年から2019年まで、週刊少年サンデーに連載されていた作品です。
コミックスは全15巻で、長過ぎず、一気に読める長さだと思います。

作者は「うえきの法則」などの作者で知られる福地翼氏です。
僕は「うえきの法則」を読んだことはないのですが、能力バトルものとして、かなり評判が高いと聞いています。

僕はその作者だということを知らずに「サイケまたしても」を読み始めたのですが、内容の面白さから納得しました。
話のテンポや展開も早いですし、頭を使う能力バトルも手慣れた感がありました。
長い間、能力バトル作品を描き続けてきた経験があるからこそ、これほど安定した面白さを保てるのだと納得しました。

本作のあらすじは、以下のような内容です。

葛代斎下は、将来の夢も特別な能力もない、どこにでもいる、ごく普通の中学三年生。
平凡で退屈な毎日を過ごすサイケだったが、ある日、幼なじみの蜜柑が事故で死んでしまう。
絶望したサイケが池に飛び込むと、蜜柑が事故で死んだ“今日”が再び始まった。
蜜柑を救うべく、問題の“今日”を繰り返すサイケだが…?
あなたにはやり直したい一日はありますか?(Amazonの作品紹介ページより引用)

見所

一番の見所は、どのようにして敵に勝つか、という点です。
主人公のサイケは、「池で溺死することによって、当日の朝7時に戻る」という能力です。
この点を除けば、サイケは普通の人間と変わらない身体能力なので、敵能力者とのバトルでは、大体最初は劣勢を強いられます。

しかし序盤の敵は、サイケの能力が「時間逆行」だと知る由もありません。
そのため、サイケはある程度戦ったあと戦闘から離脱し、池に飛び込んで当日の朝からやり直すという戦法をとります。
そうすれば、次は敵の情報が事前に分かった状態で、対策して再度バトルをすることができます。

一度のバトルでは敵の弱点が分からないことも多いです。
その場合、サイケは何十回、何百回も溺死を繰り返し、何度でも検証を繰り返します。
元通りに戻れるといっても、溺れて死ななければいけないため、それなりに苦しいはずです。

しかし、それを何回も繰り返すことができるサイケの執念・狂気は、目を見張るものがあります。
苦労の末、見事、敵の能力を破って勝利することができたときは、ゲームでボスに何度も挑戦して倒せた時のように、達成感があります。
僕は「All You Need Is Kill」という作品も大好きですが、序盤はそれに近い感覚があります。

二つ目の見所は、キャラクターの魅せ方だと思います。
絵柄は全体的に可愛らしいタッチで、みんなそれぞれ個性的な能力を持っています。
多くのキャラクターが登場しますが、主役級のメンバーは、バトルの見せ場は多いですし、心情も丁寧に描かれます。
主人公サイケの成長は物語のテーマの一つですが、他の人物についてもしっかり描かれていると思います。

また、「一度は敵として戦った相手が、味方になって手を貸してくれる」という展開は多いです。
少年漫画ではよくある展開ですが、絶対に燃える熱い展開でもあります。
王道の展開が多い本作ですが、そのすべてが丁寧に描かれており、決してマンネリには感じさせません。

そういう意味で、尖った部分は少ないかもしれませんが、欠点がほとんど無い、誰にでもお勧めできる作品と言えるのではないでしょうか。

感想(ネタバレ有り)

全15巻、ほとんど一気に読んでしまうほど楽しかったです。
やはり自分だけが認識できる「やり直し」の力は、読んでいるこちら側にも優越感を感じさせるので、気持ちいいなと感じます。

2巻から本格的に能力バトルが始まっていきますが、そこから加速度的に面白くなっていきました。
氷頭と遭遇して、逃げながら情報を引き出していき、最後に「ここが僕の領域だよ。」とモグラ池に背面ダイブするのは、してやった感が良かったです。

さらに4巻でアナと対峙する際に、サイケと氷頭で役割分担をして戦っていくシーンは、好きな場面の一つです。
サイケの能力を「つまらないもの」と侮るアナに対しての氷頭のセリフです。

「これからあいつは何度も『今日』を繰り返す。
お前の能力を検証するために。
その度に、オレはあいつをここから逃がすだろう。
けどお前はそれを繰り返してることに気づくことはできない。
お前は試され続けるんだ。
あいつのつまらない能力によってな。」

(サイケまたしても・4巻60P・氷頭のセリフより)

このシーンは、サイケの能力を軽く見ていたアナの失点が描かれていますが、サイケの執念の恐ろしさもわかる場面です。
相手が何度も繰り返しているということに気づけないのは、非常に恐ろしいなと感じます。

サイケを倒すのなら、初手で気付かれないように確実に殺すか、逃げられないように退路を断ってから戦わないと難しいでしょう。
朝7時の時点に、サイケを「詰み」状態にさせられるのであれば、やり直しても無意味になるので、有効な対処法かもしれません。

これだけの能力なので、サイケの能力に制限を付けなければ、どのような敵が現れても、氷頭戦とアナ戦の焼き直しになってしまうでしょう。
中盤以降、気軽にサイケが能力を使えなくなったのは、納得の制限と思います。
その分、他のキャラクターたちにスポットライトが当たり、キャラクターを掘り下げられたので良かったです。

僕が特に好きなキャラクターは氷頭とヨハンです。
氷頭は、無愛想で不器用な悪人顔ですが、犬みたいに可愛いところがあって好きです。
当初、物体を発泡スチロール化する能力というは、やや不便そうに感じました。
しかし、よく機転を利かせて戦う氷頭の姿は、クレバーで格好良かったです。

ヨハンは、敵の時はかなりの邪悪さが目立ちましたが、味方になると頼もしかったです。
最初はラスボスだと思っていたので、仲間になった時は意外でしたが、とても頼りがいがありました。
何となく「めだかボックス」の球磨川のような魅力を感じます。
ウィルの拘束から逃れるために若返った後は可愛かったです。

15巻という巻数ではありましたが、短いとも長いとも感じず、ちょうど良いと思いました。
途中で引き延ばしも感じられませんでしたし、一つの事件が解決すると、すぐに次の事件が始まり、テンポも良かったです。
本当に、クセが無く楽しめる能力バトル漫画という印象でした。

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