絶対零夜ノ殺人(フリー・ホラーサスペンスノベル)紹介・感想・攻略メモ

ゲーム
この記事は約8分で読めます。

ティラノビルダーで作成されたノベルゲーム『絶対零夜ノ殺人』の紹介記事です。
名作『かまいたちの夜』のような雰囲気で、推理・ミステリー要素のあるクローズドサークルのホラー・サスペンスノベルです。

全エンディングのクリア時間は約5時間でした。
エンディングは全12種です。
内訳はバッドエンド9種、生存エンド・解決エンド・特殊エンドとなっています。

ゲーム概要

主人公の高校生・和也と、友人の姉・すずは、何やかんやあって、二人で北海道へ向かう飛行機に乗っていました。
ところが飛行機が雪山に墜落したせいで遭難し、何とか近隣の民家に辿り着きます。
そこには同じように辿り着いた人たちがおり、和也とすずは何とか事なきを得ます。
しかし、本当の悪夢はここから始まります。

このような導入で本編が始まります。
通常のノベルゲームと同じく、文章を読み進めていくことでゲームが進行していきます。

ゲーム中にはもちろん選択肢が発生し、選択肢によってはその後の展開に影響を与えるものもあります。
また、犯人の名前などを自由に入力する場面もあります。
事件の完全解決を目指すには、ただ選択肢を総当たりで辿るだけではなく、よく考えるということも必要になってきます。

ゲーム中にはインフォメーションとして、登場人物の情報や、建物の地図を確認することができます。
新たな情報が追加されていくことで、各人の説明が増えていきます。

またゲーム中、発言する人物によって文字の色が変えられています。
主人公のセリフは白色、男性キャラは青色、女性キャラのセリフはピンクになっています。
これを覚えておくことで、誰が発言しているか分かりやすくなるかと思います。

ゲーム中、セーブデータは6つ保存できます。
やや少ない印象ですがスキップ機能がありますし、終盤でエンディングを迎えるとシーンごとに再開できる機能が解禁されます。
繰り返しプレイする際に役立つと思います。

感想(ネタバレ無し)

全てのエンディングを見終えてクリアしました。
最後の真相が知りたくなり、熱中して一気にプレイしてしまう作品です。

導入で飛行機が墜落するなど、結構ぶっ飛んだ展開に驚きました。
しかしクリア後に考えると、飛行機が墜落する方がはるかに死ぬ確率が高くて危険なはずなのに、殺人犯がいる閉ざされた館の方が怖いというのは、何だか不思議だと感じがしました。
そういう意味では、改めて人間の心理というのは面白いなと思います。

文章については、やや砕けた表現があるものの、作品の雰囲気を損なうような箇所は無く読みやすかったと思います。
また物語の展開としてもテンポ良く進み、中だるみを感じるということはありませんでした。

途中、少し荒唐無稽に感じられるような設定が登場した部分もありましたが、そこが本作の核というわけではないと思うので、僕自身は肯定的に解釈しています。
(例えば、ホラーゲームとしての『バイオハザード』を楽しむ際に、T-ウイルスの存在そのものに突っ込んでも意味がないわけで、それと同じようなニュアンスです)
何となくですが、Innocent Greyの『カルタグラ』『殻の少女』シリーズと同種の匂いを勝手に感じ取りました。

事件解決後のエピローグでは、主人公とヒロインのエピソードを掘り下げて描写する場面もあり、同種のサスペンスノベルにはあまり見られない要素だったと思います。
ホラーサスペンスである本編を邪魔しないように、こういった要素を解決後に配置する構成は良かったと思います。

難易度としては、正直、かなり高いと思います。
選択肢の総当たりで辿り着けるエンディングは良いのですが、入力が求められるエンディングは、ほとんど自力では辿り着けなかったです。
特定のワードを入力して反応を見てから、さらなる答えを入力する必要もあったりします。
作者様の攻略ヒント等を読んで、ようやくたどり着けたという感じなのが悔しかったです。

何にせよ、『かまいたちの夜』のような作品が好きな人には、ある程度刺さる作品であることは間違いないと思います。
気になったらプレイしてみてはいかがでしょうか。

攻略メモ(超ネタバレあり)

本項は、選択肢を総当たりで選ぶだけでは辿り着けないエンディングについて、その方法を記載しています。
後半に行けば行くほど、直接的なネタバレが増えていくため、自力でクリアしたい方はご注意ください。

END7

・真相は遠く
まずはやや見にくいと感じたバッドエンド7の見方についてです。
ポイントとなるのは、窮地において、同じ選択肢を選び続ける、という点でしょう。
具体的な到達方法は以下の通りです。

 

START→「9・再び就寝する直前から」
・寝る
・外に出る
・アラームを止めない
・1階へ降りる
・リビング+ダイニングキッチン
・地下室へ向かう×3

END10

・すべてを犠牲に
生存エンドの一つです。
事件自体は解決しませんが、何とか生き延びるという内容です。
まずは作者様のヒントページを見て考えてみてはどうでしょうか。

ポイントは、玄関付近に置いてある役に立つ物を思いつけるかどうか、だと思います。
(館モノの定番のラストから逆算すれば思いつくかも?)

 

 

この下に解答を記載していますので、ご注意ください。

 

 

・START→「9・再び就寝する直前から」
・寝る
・外に出る
・アラームを止めない
・1階へ降りる
・リビング+ダイニングキッチン
・使えそうなものを探す
・とうゆ

 

 

 

 

END11

・悪夢の終わり
事件解決エンドです。
少し気になる点は残るものの、一番メインとなるクリアルートだと思います。
ポイントは、家主の書き置きに登場する人名です。
まずは作者様のヒントページを見てお考えください。

 

 

この下に解答を記載していますので、ご注意ください。

 

 

 

START→「9・再び就寝する直前から」
・考える
・指輪とネックレスを盗んだ犯人は?→「さるわたり」
・猿渡さんを殺した犯人は?→「ばけもの」
・別の説を唱える
・「高橋さんを殺した犯人。それは―」→みゆ
※すずが「……誰のことを言っているの?」と聞いてくるまで繰り返し入力する
・「……誰のことを言っているの?」→さとう

 

 

 

 

 

END12

・〇〇
最後に残る特殊エンドです。
あーちゃんが好きな人はEND11で終わらせて幸せになりましょう。
すず様が好きな人は…いや、見ない方がいいのかもしれません。

まずは作者様のヒントページで考えてみてください。
自分はこのページで何とか辿り着きました。

 

 

 

この下に解答を記載していますので、ご注意ください。

 

 

 

 

START→「9・再び就寝する直前から」
・考える
・指輪とネックレスを盗んだ犯人は?→「さるわたり」
・猿渡さんを殺した犯人は?→「ばけもの」
・別の説を唱える
・「高橋さんを殺した犯人。それは―」→すず
※すずが「和也くんの目に、私はどう映っているの?」と聞いてくるまで繰り返し入力する
・「和也くんの目に、私はどう映っているの?」→てんまひろみのむすめ

 

 

 

 

 

感想(ネタバレ有り)※END12到達後の閲覧推奨

本項目では、END12到達後を含めた感想を書いています。
ご注意ください。

最初に見たENDは、飛行機の中で死んでしまうENDです。
真面目な選択肢よりも、少々ぶっ飛んだ選択肢を選びたくなるのは人間のサガですが、まさかいきなり死ぬとは思いませんでした。
その後のプレイでは、真犯人を指名できるわけもなく、終盤ではあえなくサバイバル・ゲームモードに突入します。
初代『かまいたちの夜』も、終盤の犯人の神出鬼没は化け物じみていましたが、本作は結構リアルに化け物に近いので、暗闇で苦も無く動けるのは納得感があります。

化け物の存在は、本当に存在するのかどうか分からない雰囲気だったので、本当にいたのは少し驚きました。
しかし恐怖のための演出にしか見えない死体損壊することで、全員が分散するよう仕向ける計算があるのは面白かったです。
また、遭難した乗客を装って、実はそこの住民が紛れているという展開も面白いと感じました。

和也とすずさんの関係性は、他ではあまり見られないペアで新鮮でした。
友人の年上のお姉さんという、仲が良いわけでもない絶妙な距離感で、本編とはまた違う甘酸っぱい緊張感がありました。
そんなすずさんが、自分の出自と関わる場所に避難することになるとは驚きでした。

次に語っておかねばならないのは、すずさんと水町、プレイヤーとしてどちらのヒロインを選ぶかという点です。

記憶喪失の主人公が、過去にヒロインとの絡みがあるというのはギャルゲーの王道ではありますが、推理サスペンスホラーノベルで描写されるとは思っていませんでした。
ヒロインとのクリア後をプレイヤーの想像に委ねるのも良いのですが、公式で描かれるというのもまた良いものだと思います。
ヒロインの立ち位置に居ながら、裏ヒロイン的扱いのすずさんと、エピソードが完全に正ヒロインのそれである水町。
正直、個人の嗜好としてはどちらも甲乙つけがたく、感情で選択することができません。

この問題に結論を出すためにはまず、タイトル画面が変化した後に見られるエピローグについて正しく解釈する必要があります。

結論から言うとこのエピローグは、END12のラストで死んでしまった和也とすずが、きょうだいとして生まれ変わったという描写です。
二人の子供の名前は「リンヤ」「ノドカ」と明示されますが、これは「和也」「鈴(すず)」を組み合わせた名前であることは明らかです。
(漢字で書くとおそらく、「鈴也(リンヤ)」「和(ノドカ)」)
無事に生まれ変わって、来世で幸せになるというのも一つの結末と言えるでしょう。
恋人同士ではなくきょうだいというのも、二人の関係性らしくてしっくりきます。

そこで先ほどの問題に戻ります。

上記のようなエピローグの解釈から言えることは、今世で幸せになるのであれば水町、来世で幸せになるのであればすずさんということになるでしょう。
ただしすずさんの場合、来世での関係性はきょうだいということになるので、恋人同士のようにいちゃつけないことを留意しておく必要があるでしょう。

現実的な問題として考えるのであれば、僕は今世で既に結婚し家族がいるわけです。
そうなると通常の倫理観において、今世で水町を選ぶのは不可能であり、必然的にすずさんを選んで来世で幸せになる、という選択になります。

半分くらいヒロインについて語ってしまいました。
解決ENDの11で驚くのは終わりだと思っていましたが、まさかEND12でもそれ以上に驚かされるとは思っていませんでした。
少し突飛な設定の部分もありましたが、エンターテインメントとして、たくさんの驚きや気持ち良さを味わうことができ、とても面白かったです。

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
本ブログで紹介しているゲーム系の記事まとめ
ゲーム

コメント